面白い陰キャラを目指すブログ

面白い陰キャラを目指すという趣旨のブログです。

淫夢厨で良かったこと。悪かったこと。

人は皆、心の中に故郷を持つ。

 

かつてギリシャの詩人、ホメロスは「人生は幸福より不幸の方が二倍多い。」と言ったことが知られているが、このような言葉に代表されるごとく、世の中が辛さや悲しさ、ある種のやりきれなさに満ちているということは、洋の東西を問わず、今も昔も同じであるらしい。


だから人は、どうしようもないような人生の壁にぶち当たった時、しばし立ち止まり、心の中の故郷へと回帰するのだ。

 

故郷は、目の前の辛い現実をしばしの間忘れさせてくれ、心の平穏を取り戻させてくれる。


世の中が苦しみに満ちていることは、何も今に始まったことではない。そんな悠久な時の流れの中で、今更あがいたって仕方がないではないか。


人は心の故郷に回帰することで平穏を取り戻し、また、現実の社会へと帰っていく。

 

人は誰しも、心の中に故郷を持っている。それは、この社会で生き抜くために、必ず必要なものなのだ。

 

俺にとって、その故郷とはホモビデオである。

 

 


28歳、淫夢厨です

 


俺は現在、28歳の独身男である。

 

ついこないだ20になったと思っていたら、いつの間にやらあと2年で30代という領域にまで差し掛かっているのだから、人生というやつは恐ろしい。


思えば20になってからの8年間、学校に行ったり、働いたり、ニートになったりと色々していたわけだが、そんな中でずっと貫いてきたものが何であったのかと振り返った際、ホモビデオの視聴だったというのだから俺という人間はさらに恐ろしい。

 

俺がホモビデオを見るようになったのは、例の「真夏の夜の淫夢」がきっかけなのだが、ちょうどアレが流行りだした20歳くらいの頃は、毎日スマホにかじりついては野獣先輩の名言に触れ、ゲラゲラ笑いながら酒を飲んでいた。周囲のリア充陽キャ大学生どもが仲間とパーティーしたり、彼女とギシアンしてる中、俺の恋人は淫夢だった。

 

「迫真空手部」とか「虐待おじさん」とか、時を経て様々な動画が発掘されるにつれ、俺の欲望は遂に危険な領域へと突入した。周囲のリア充オタクどもが仲間と集まってモンハンしたりまどマギがどうのこうの語り合ったりしている中、俺は一人ぼっちで部屋に引きこもり、淫夢動画にせっせと赤字コメントをつけていた。

 

今では普通に淫夢系以外のホモビデオも見るようになったし、18禁修正のないノーカット版のホモビも見れるようになったが、やはり俺の中での正義は野獣先輩や迫真空手部の皆、虐待おじさんやKBTITにある。そして、事あるごとに心の中で語録を復唱し、野獣先輩に想いを馳せ、心の平穏を取り戻すのである。

 

もはや俺は立派な「淫夢厨」と言えるだろう。

 


淫夢厨のデメリット


 

そんな淫夢厨の俺だが、やはり年齢が年齢なので、TPOをわきまえずに語録を連発し、周囲の失笑を買うというホモガキのような真似はさすがにできない。


せいぜい、酔っぱらった際に一人で歩きながら夜道で語録をつぶやいたり、数少ない女友達がLINEで「かしこまり☆」とか言ってるのに対して「それ、元ネタホモビデオやから」と指摘して顰蹙を買ったりする程度である。淫夢厨としては、比較的慎ましやかな部類と言えるだろう。

 

だが、そうやっておとなしく淫夢厨をやっている俺でも、やはり淫夢厨であるということで日常生活に様々な支障をきたすことがある。


中でも一番大きいのは、語録に敏感になってしまうということだ。

 

「真夏の夜の淫夢」は一時期流行ったレスリング系などと違い、日本産のホモビデオなので、空耳系の語録は少なく、ほとんどが日本語としてしっかり機能している。野獣先輩の語録の中にも「これもうわかんねぇな…」や「やりますねぇ!」など、日常生活で出てきても何ら不思議のないものが多く含まれており、我々淫夢厨はこういった言葉、乃至は類似の言葉を淫夢に対して無知な人間が発言してしまった際、どうしても心の中で草を禁じ得ない。

 

その相手が家族とか友達とかだったらつい笑ってしまったところで被害は少ないが、上司や取引先がこのような言葉を使った場合などは、何としてでも草をおさえなければならないだろう。


こないだなんて、会社で行われた割と重要めな会議で配られた資料にデカデカと「王道を征く」とか印字されてあったりして、俺は笑いをこらえるのに必死だった。


必死で草をこらえていたら脳内でヒゲクマが「セルシオばっかじゃねぇかお前ん家ぃ!」とか言いながらおもむろに白豚をしばきだしたりして、もう限界に達しそうだった。我慢するために腿をつねりまくった挙句、帰ってから見たらちょっとアザになっていた。馬鹿か俺は。

 

さらに、淫夢厨になると何が何でも日常で語録を使いたくなる。


相手が誰であろうとかまわず語録を使って内輪で勝手に爆笑しているキッズならば何の問題もないのだろうが、俺くらいの年齢になるとそのような真似ができるものでもない。幸い、前述したとおり淫夢の語録は頑張れば日常生活で使えなくもないようなものばかりなので、なんとか語録を使えるように、使えるようにと意識して会話の流れを持っていけば、それは決して難しいことではない。


例えば一時期、俺は文科系のヒョロガリ陰キャであるにも関わらず、返事は極力「オッス」と体育会系で行うことを心掛けていた。これは無論、自然な流れで野獣先輩の「オッス、お願いしまーす」という語録を使うために仕掛けていた、俺なりの伏線である。社会人の淫夢厨であれば、自然な流れで語録を使うため、このように様々な工夫をしていくことが肝要となる。

 

しかし、こうまでして頑張って使った語録が淫夢の知識がある人間に気取られてしまった場合、すさまじい蔑視の対象となることもまた、覚悟しなければならない。


大学4回生の頃、俺は所属していた研究室の中でも様々な工夫をこらして気づかれないように語録を使うことに熱中していたが、一つ下のニコ厨の男に気取られてしまった結果、一部男女の間で「キモオタホモビ先輩」という非常に不名誉な蔑称を囁かれることとなってしまった。

 

語録の使用はあくまで自己満足。淫夢厨は決して社会から受け入れられる存在ではなく、それが判明した瞬間、多くの人間から軽蔑され疎まれるという動かしがたい事実を、ヤフー知恵袋淫夢ネタで荒らしたりなどして悦んでいるホモガキ共は再度、認識するべきだろう。

 


淫夢厨のメリット

 


そんな社会から蔑まれる淫夢厨な俺だが、デメリットばかりではなく、逆に淫夢厨で良かったと感じるような場面にもしばしば遭遇する。

 

何より良かったと感じるのは、淫夢厨になったことで肝が太くなったということだ。

 

元来、俺は非常に小心な人間で、中高生の頃は体育教師のおっさんががなり立てる度に小鹿のようにビクビク震えていたのだが、淫夢に触れるようになってから、こういった強面系のおっさんに対する耐性が劇的に向上した。


こないだも、今行ってる会社の社長(安部譲二を彷彿とさせる強面系)が、「今季の業績が悪い」ということで「アウトレイジ」ばりの迫力ある叱責を朝会で社員一同に浴びせかけていたが、「現場監督」をはじめとするサムソン系のホモビデオに慣れ親しんでいる俺のハートには、この手の強面おっさんの罵声などもはやピクリとも響かない。


なぜなら、この恐ろしいおっさんだって、裏では同じようなおっさんに責められながら「お尻がオ〇ンコになっちゃう!」とか「もっとお〇んちん舐めてぇ~」とか「太すぎるッピ!」とか言いながらカマホモテンションであえぎまくっているに違いないからだ。


世間に存在するおっさん全般に強くなったこと。これを俺は、淫夢厨になって得た最大の能力としてここに挙げたい。

 

また、汚物に対して耐性がついたということを挙げてみてもいいかもしれない。


基本的に尻の穴を使ってホモセックスを行うホモビデオにウ〇コはつきものだが、こういった映像に慣れ親しむことによって汚物に対する拒絶感がいくらか減少したように感じている。まあ、こんなもんに耐性がついたところで何の役に立つのか今のところ全くもって不明なのだが、人生というのは何がおこるか分からないものなので、耐性があるならそれにこしたことはないだろう。「糞喰漢」の糞尿レストランパートとか、ああいうのは汚すぎて未だに絶対に見れないが。

 


■結局、メリットとかデメリットとか関係ないけどな


 

まあ、そんなこんなで、世間一般で嫌われる淫夢厨にも少なからずのメリットはあるのだということを、この記事では伝えたかった。


もっとも、淫夢厨などメリットデメリットを考えてなるようなものではないので、例えおっさんに耐性をつけたいからといって「課長壊れる」などを視聴することはおすすめしないが。

 

俺はきっと、これからも淫夢厨であり続けるだろう。


実はニコ動の凋落に従い、ここしばらくは淫夢から離れていたのだが、ひょんなことからまたホモビのすばらしさに触れ、現在は淫夢動画はもちろん、「G-men」や「Badi」といったホモ雑誌、ケツデカピングーなどに囲まれた男臭い生活を謳歌している。

 

今後も、辛いことや悲しいことにぶち当たる度、心の中の野獣先輩が「お、大丈夫か大丈夫か」と言って慰めてくれる…そんな至福の日々を夢想しつつ、今回の記事を終わりとしたい。

 

最期まで読んでくれたホモのみんな、ありがとナス!

 

 

百億の男

はいどうも。陰キャラです。突然だけど、前回に引き続きなんかまた、日本沸いてるらしいね。セネガルとかなりいい試合して引き分けたってことで、全世界のサッカー好きからすげぇ高い評価受けてるらしいね。
 
 
そんな中、俺は俺で知り合いがオフサイドトラップがどうのこうの言ってるから「何?遊戯王の話?」っていって混ざろうとしたら便所に群がったカメムシを見るみたいな軽蔑しきった目で見られましたよ。「トラップ」とか言う言葉の響きで直ぐ様遊戯王思い出す。それが俺、陰キャラ(アラサー)だ。こちとら、お前らが捨てちまったあの頃の夏を未だ全力で生きてんだよ。
 
 
まぁ、そんなこんなでスポーツには疎い俺だが、ほかにも色々と疎い。政治にも疎けりゃ、経済にも疎く、時事問題全般に関心が薄い。なんせこないだ「森友問題」を「もりゆうもんだい」と読んで笑われたばかりだ。「こんなん小学生でも読めるやろwwww」って、うっせーな。湯桶読み勢ディスってんじゃねーぞ。
 
 
こんな感じで、俺みたいな陰キャラがスポーツだの政治だのに疎くとも、世間的には「あ、やっぱりね」とか思われてしまうんだろうが、どっこい、俺はアイドルとかアニメとか、その辺にも疎いぞ。陰キャラが皆アニメ好き、アイドル好きだと思ったら大間違いで、俺みたいなもんから見たらアイドルだの声優だののライブに行ける奴らとか、もうその時点で陽キャだし。しかも、なんか最近のオタは、インスタ栄えとか考慮した上で推しとセルフィーしちゃったりするんでしょ?そんなの、俺の知ってるオタクじゃないんだけど。この国はいったい、どうなってしまったんだ。
 
 
ところが、そんなオタ趣味に疎い俺の耳にまで入ってくるくらい、今の日本は沸いている。何に沸いてるのかって、はい、この方。ドン。

 

f:id:hara-hiro-da-bu:20180626215423j:plain


 
百億の男、安室透さんです。
 
 

いやー、すごいね。安室さん。(ちなみに、上の画像の右上部でドヤ顏してる金髪褐色の人が安室さんね。)なんせ今ジャパンにはこの方が出ている『ゼロの執行人』を見て、安室さんの女にされちゃった方がうじゃうじゃしているそうですよ。
 
 
そんで、そんな方々がなんとか安室透の経済効果を百億くらいに高めようと色々頑張って、映画何回も見たりとか、安室ブランドの時計買ったりとか、突き抜けたのになると劇中で安室が乗ってた車とか購入したりしてるらしい。
 
 
オタクたちがこういうことしてるの見ると、俺くらいの世代だったら例の「ハピマテ事件」とか思い出すわけなんだけれども、その頃に比べるとオタ趣味も大分世間に受け入れられるようになってきて、母数がめちゃめちゃ増えた分、目標達成額もものすごいことになっている。やっぱり、戦いは数ってことなんですかね。
 
 
 
■妹が安室の女に
 
 
ここまで規模が大きいと、自然、俺みたいなオタ趣味に疎い陰キャラの足元にも安室はやってくる。
 
 
なんとなんと、非常に厄介なことに、うちの下の妹が「安室の女」にされてしまったのだ。毎日毎日、映画のパンフレットを見たり、安室関連の二次創作小説を読んだりしては「うっぎゃぁーーー!!」とか「やばいやばいやばいやばああぁぁぁぁんん!!」とか、「好き好き好き好き好き好きいぃぃぃぃんほぉぉぉぉぉぉ!!!」とか、とても正気の人間のそれとは思えない奇声がレ◯パレスばりに壁の薄い隣室から常時聞こえてきて、本当にもう、気が狂いそう。興奮して「んほぉぉぉ」とか、こいつ、みさくらなんこつ作品の登場人物かよ。
 
 
そんな妹だが、今年で19になるわけで、毎日毎日信じて大学やらバイト先やらに送り出されてるんだけれども、かたや俺、毎日毎日、家から電車で10分くらいの会社に送り出されてる。こないだまでニートだった俺なんだが、家にずっといても暇だし、ついつい酒飲んじゃうし、エアコンないから冬は寒いし夏は暑いだろうし…ってことで、働くことにしたのだ。
 
 
といっても、俺は免許もってないし、人と喋るの嫌いだし、営業系の仕事はすることができない。前やってたのは事務系の仕事なので、その流れで今回の仕事も事務系にした。家から出ないか、会社から出ないか。俺にとって、ニートと社会人の違いなど、それくらいだ。
 
 
まぁ、文頭ではこんなこと言ってるが、実際の俺はいたって真面目である。陰キャラが不真面目で無能だと社会から虐められるので、一日でも早く仕事に慣れるよう、誠心誠意頑張っている。その様はまるでヤング・島耕作だ。
 
 
なんせ、新しい職場のこと故、今まで培ってきたスキルが全部通用するわけではない。仮に俺のスキルが野獣先輩の名言並みに余すところなく使用できるものなら、どんな環境でも問題なく適応できるのだろうが、俺のスキルは結構、捨てるところがあるので、そういうわけにもいかない。
 
 
日々、仕事に打ち込む中で、これまで培ってきた自分のスキルを「これはここでも使えるな」「これはこの職場では使えないぞ」みたいな感じで選り分けつつ、己を練磨し研鑽していくのだ。その様はまるで、包丁片手に鮮魚に向かう築地魚河岸三代目だ。そして俺のスキルはマグロのようだ。…え…?じゃあ俺って…一体、何?島耕作…?野獣先輩…?魚河岸三代目……?それとも……マグロ………?
 
 
…みたいな感じで、自我が分裂しまくってるところで俺の脳内に巣食うバナージ・リンクスが「こんなことを繰り返していたら、心が壊れて人間でなくなってしまう!」っつって修正パンチ食らわしたあたりで、ようやく正気に戻って仕事が手につきだす。ここに行き着くまでにだいたい平均して半日くらいかかってるわけで、え、ダメじゃん。俺。新入社員としてどうこう以前に、もはや人間としてダメな領域に差し掛かってんじゃん。
 
 
そんなこんなで、毎日悲喜こもごもな社畜ライフを満喫しているわけなんだけれども、先日、仕事を終えて帰宅して家の扉を開けた瞬間、すんごい女の悲鳴が俺の両耳をつんざいた。
 
 
「ぎゃあぉぉあああああああああああ!!!」
 
 
 
 
 
悲鳴の感じからして、今家の中で叫んでいるのは上の妹らしい。
 
 
ここでちょっと触れておくが、うちには妹が二人いる。先に登場した安室の女にされた方が下の妹で、今、ホラー映画の女主人公ばりに叫びまくってるのが上の妹ね。俺の妹のくせに、なぜか両方陽キャラ寄りなので、いい年こいて友達も彼女もいない陰キャラの兄のことをゴミムシみたいに扱ってくるが、なぜか呼び方だけは「お兄ちゃん」で統一されている。妙にアンバランスな妹力を持つ二人だ。
 
 
そんで、下の妹の歳は19なんだが、かたや上の妹は24とか5とかその辺である。軽く結婚しててもおかしくないし、人によっちゃ子供とかいてもおかしくない。物事の分別もしっかりついているであろう20半ばの人間が、今、俺の家のリビングで喉が張り裂けんばかりの大声で叫びまくっている。これは大変ヤバいことが起こっているに違いない。俺の脳裏を「強盗」という言葉と「強姦」という言葉が同時にかすめる。
 
 
どうしよう。逃げてやろうかしら。脳内に響く悪魔の声。否、否。かわいい妹がどこぞの変態に犯されかけているのだ。ここで逃げて何が男ぞ。脳内に響き渡る天使の声。そうだ。今、妹を救えるのは俺しかいない。陰キャラとはいえ、俺も一人の大和男子。ここは根性、見せたらんかいぃぃ!!とばかり、玄関に立てかけてあった高枝鋏を装備すると、蹴破らんばかりの勢いでリビングルームへ突入した。
 
 
俺「どないしたあ!!!」
 
 
上妹「うわ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ああ!!!お゛に゛いぢゃああああん!!!!」
 
 
…え?なにこれ。
 
 
俺はリビングルームで行われている惨劇を前に、完全に言葉を失う。
 
 
そこにいたのは、絶叫する妹。妹が、右腕にまとわりついている人物の頭をべちべち叩きながら、悲痛な叫び声をあげている。だが、べちべちやられている側もただ、黙って叩かれているばかりではない。っていうか、どう考えてもそいつの方がヤバい。そいつは、まるでジャック・ハンマーがごとく、妹の右腕にかぶりついているのだ。人間が、人間に噛みつく。東京ドームの地下にある闘技場でしか見られないようなマジモンのヴァーリ・トゥードが、今、俺の目の前で行われている。
 
 
一度かぶりついたら離さない。凶悪な顎を持つ、気合の入った我が家のジャック。それはもちろん、例の「安室の女」こと、下の妹だ。
 
 
下妹「ぐぅーーーー!!!ぐるふぅぅーーーーぅ!!!!!」
 
 
 
■安室の女vs赤井の女
 
 
まぁ、そこはなんだかんだ言っても俺は長兄なわけで。「ちょ、ちょ、おま。」みたいな感じで仲介していったら、何とかジャックを妹の腕から離すことができた。そこからはもう、上の妹も下の妹も泣く泣く。20を幾分か越した分別盛りと、花も恥じらう20手前の娘が、喉も裂けよとばかりに泣きまくる。
 
 
それで、大体10分くらい経ったころだったかしら。無限と思えるスタミナを見せていた妹たちも、ようやく疲れが見え始めたのか、次第に泣きやむようになってきた。そんな妹たちに対して、俺はことの経緯を聞こうと質問を投げかける。
 
 
俺「なに、このザマ。」
 
 
上妹「あんな、あんな、下妹ちゃんが、私が赤井のこと、めっちゃ好きって知ってんのに、赤井の悪口ばっかりいうねん!」
 
 
俺「…!?」
 
 
下妹「だって、だって!旦那(!?)が、赤井のこと大っ嫌いやから私も大嫌いやねん!なのにお姉ちゃんが、pixivで変な絵ばっかり見せてくるねん!」
 
 
俺「……!!??」
 
 
え……なに、こいつら。気持ち悪い。ニュータイプなの?宇宙(そら)が光っちゃってんの?時が見えちゃってんの?オールドタイプの俺には、言ってることが全然理解できないんだけど。
 
 
それでも、例のロリコン仮面みたく戯言言い合うニュータイプを完全に蚊帳の外から眺めてるだけってのも癪なので、なんとか歩みよりつつ、ここで何が行われていたのかを出来るだけ詳細に聞いてみた。
 
 
その結果、得られたのは次のような情報だった。
 
 
どうやら、上の妹は『名探偵コナン』に登場する「赤井秀一」という人物のことが大好きらしい。赤井秀一は、例の「黒の組織」の一員でありながら、FBIとかにも所属しており、主人公であるコナン達にも時折手を貸してくれる二枚目キャラなんだとか。
 

f:id:hara-hiro-da-bu:20180626220952j:plain

↑コナン君とじゃれ合う赤井秀一さんの図

 
上妹は、結構前からこの赤井秀一のことが大好きで、pixivで絵を漁ったり、グッズを買ったりして赤井愛を高めていたのだという。そんな中、今回の『ゼロの執行人』騒動で下の妹が『名探偵コナン』に興味を持った。これはもう、上妹からすればかなりウキウキな出来事だったそうだ。仲良しかよ。
 
 
ところが、ここで問題が生ずる。上の妹は、いわゆる腐女子というやつだ。しかも「コードギアスで目覚めた」とか言ってるから、軽く10年程のキャリアを持つ腐女子戦士ということになる。彼女は20代半ばにして、既に人生の半分近くを腐女子として生きているのだ。
 
 
そんな上妹のことだから、赤井に求めるのは当然同性愛である。そして、聞くところによると、赤井でBL妄想を行う場合、大正義となるのが赤井×安室のカップリングらしいのだ。上妹は「この機会に」とばかり、嬉々として下の妹に赤井×安室のカップリングをレコメンドしに向かった。
 
 
が、下の妹は、上の妹とは種類の違う女オタクだった。下妹は、彼女らの業界でいうところの「夢女子」というやつだったらしい。
 
 
夢女子とは、好きなキャラクターがいる世界の中に自分を当てはめて、妄想の中でそのキャラクターと友達になったり、恋人になったりする奴らのことを言う。夢女子であった下の妹にとって、推しである安室は「BL妄想の対象」ではなく「結婚したい男性」であった。だからあいつは、安室のことを平気で「旦那」とか呼んじゃうのだ。
 
 
そんな下妹であるから、安室の人格や趣味嗜好を非常に尊重する。そして、聞くところによると劇中の安室は、赤井のことが大っ嫌いらしい。っていうか、嫌いとかじゃなくてもう普通にぶっ殺したいと思ってるらしい。初期のサスケがイタチに対して抱いていたレベルの殺意を、安室は赤井に対して抱いているらしい。
 
 
そんな中、上妹は下妹に対して、安室と赤井がくんずほぐれつなBL絵を複数レコメンドしてしまった。安室の女、下妹は、旦那が大嫌いと言っている赤井が安室を性的に責めている画像に対して、本当に我慢ができず、強い拒絶をしめす。ところが、上妹は懲りずに勧める。下妹、拒絶する。
 
 
そんなことを繰り返しているうちに、ついには口論に発展する。上妹は下妹を「現実が見れないキモくて痛い夢女子」「にわかの癖に安室を旦那とかキモすぎる」などと罵り、下妹は上妹を「男同士の裸で欲情する倒錯者」「20未満の妹にBLを勧めるモラルの欠片もない女オタク」と罵る。
 
 
その末、取っ組み合いの喧嘩に発展し、ついには上妹の右腕に、下妹がかぶりつくという惨劇が起こってしまった、というわけだ。
 
 
 
 
 
 
……………
 
 
 
 
 
 
俺「え、お前らアホなん?」
 
 
 
 
ことの経緯を聞いた俺、そう言うしかなかった。だってそうじゃん。19の女と24の女が、架空の人物に対する愛情感のすれ違いから叩いたり噛みついたり…挙句、家の外にいる人にも聞こえそうなレベルの大声でわんわん泣き散らすとか、こんなもん、アホと言うよりほかはない。
 
 
だが、妹ズは俺のアホ発言に対して牙を剥く。
 
 
上妹「アホってなんなん!!なんも知らん癖に、そんな言い方せんとってや!!」
 
 
下妹「ほんまや!大体、お兄ちゃんの方が変なエッチな漫画雑誌部屋に隠してる癖に!お兄ちゃんの方がよっぽどアホやしキモいわ!!」
 
 
上妹「はぁ!!?お兄ちゃん部屋にそんなん隠してんの!?しかもそれを下妹ちゃんの目につくようなとこに置いてんの!!?信じられへん!!!」
 
 
下妹「信じられへんわ!!お兄ちゃんが一番キモいわ!!アホ!!アホ!!!」
 
 
…先ほどの醜態は全力で棚の上へ叩き込み、今度は俺に対してdisの嵐を浴びせまくる妹ふたり。オイオイ、俺の部屋から出てきたエッチな雑誌って、まさか『LO』のことじゃねぇだろうな?『快楽天』なら仕方ない。男は皆オナニーするのと同じように、男は皆『快楽天』くらいだったらベッドの下に忍ばせているのが当たり前だ。
 
 
そんな当たり前な男の生理現象につけこんで、ここぞとばかりに俺をdisりまくる妹ふたり。ナマの感情丸出しで戦うなど、これでは人に品性を求めるなど絶望的だ。俺は品性のある大人の男なので、ちょっとやそっとのdisには動じず、ただ言わせたいままにやらせておく。
 
 
だが、何しろ俺は根暗の陰キャラでついこないだまでニートだった身だ。罵るところとか、いくらでも出てくるぞ。すねかじり、ごくつぶし、女にもてないぼっちの陰キャラ、ブサイクな二次エロオタク、変態…うう…書いてて辛くなってきた。
 
 
上記の悪口に加え、とてもここには書けないようなマインドクラッシュな罵詈雑言を浴びせまくった後、言いたいだけのことを全部言ってしったのか、それとも単に疲れただけなのか、妹らは各々、自分の部屋へと帰っていった。そして、妹たちによる30分罵倒責めコースを堪能した俺は、ちょっと泣きそうになりながらその場にへたり込むのであった。
 
 
アニメは人を、ここまで変えるのか。安室さん、あんたスゲェよ…
 
 
100億の男が残した執行の爪痕は、まだまだ我が家の情勢をかき乱しそうである。
 
 
 
 
陰キャラ的・本記事への自己評価
 
★★★★☆(4/5)「割と好き。」
 
 
陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。
 
「時事ネタ」というにはちょっぴり古くなってしまったかもしれないが、100億の男・安室さんのネタである。世間が安室透で湧きまくってたのはもう1カ月以上前の話かもしれないが、これはつい先週、うちの家で起こった本当の話。
 
妹らの喧嘩を割とノンフィクションでそのまま書いてるので、なんか謎のスピード感があって個人的には割と好き。読む人の目線まで気にして★4をつけれたのなら大したものだが、そこまではまだ、力が及ばない。
 
自分を客観視して見ることは、自意識過剰気味な陰キャラには難しいのだ。
 
 
 
 
 
 

 

 

唐突だけど空気を読まずにサッカーの悪口をいいます

なんか今、日本沸いてるらしい。今やってるワールドカップで、サッカー日本代表がコロンビアを21で下したんだって。俺は根暗な陰キャラで、サッカーについてお話する友だちとか一切いないからよく分からんのだけれども、それって結構、すごいことらしい。

 

 

まあね、それがすごいってことはなんとなく分かる。漫画とかだって、弱キャラが強キャラに勝ったらなんかワクワクするじゃん。『男塾』でいうところの富樫VSミッシェル戦とかな。

 

 

今回の日本代表はFIFAランキングでいえば出場国中最下位で、対するコロンビアは16位とかだったらしい。そんなんもう、『男塾』に例えたら富樫とか言ってる場合じゃない。アキレウス一人に全員人柱にされちゃったアイツら(名前忘れた)が、オリンポス16闘士に勝つみたいなもんで、視聴者の一人としては、開いた口がふさがらない。

 

 

f:id:hara-hiro-da-bu:20180624102736j:plain

↑『魁!男塾』より。人柱って、そういうことじゃないと思うんだけどな。

 

 

ところがどっこい、こちとら、大阪住みの大阪民である。そりゃあもう、ご存知の通り地震でてんやわんやなんである。

 

 

 

■爽やかな目覚めと陰キャラと地震と隣のおっさんと

 

もうね、地震、ほんとすごかったんだから。

 

 

あの日、俺は珍しく早起きして、一人掛け用のソファに深く腰掛けながら音楽聞いてた。なんか陽キャラみたいなさわやかな朝だが、実際、俺はそうしてた。

 

 

そしたら、突然の揺れ!本棚の上に積み上げてた本とか、机の上のフィギュアとか、掛け時計とかめっちゃ落ちる。

 

 

「あ、ヤバイ。これ死ぬな」って直感的に悟った俺は、わき目もふらず、家から飛び出した。めっちゃ恥ずかしいけど、その時俺、下履いてなかった。Tシャツ一枚にパンツのスタイルで、とにかく家から飛び出した。何が怖いって、家の下敷きになることだけがとにかく心の底から怖かった。

 

 

そんで、地震っていっても時間にしたら30秒も揺れてなかったはずだから、外にでたのとほぼ同時くらいに揺れもひいていったんだけど、その時、俺の動きに呼応するようにして今度は隣の家のお父さんが飛び出してきた。皆考えることは一緒らしい。しかもこのお父さんがまた、俺とおんなじようなランニングシャツ&パンツの斬新なスタイルだった。揺れが完全に収まってから、ちょっと顔を見合わせた俺たちだが、妙な一体感とか感じることは一切なく、「あ…どうも」みたいな感じで気まずそうに挨拶し合う。そしてパンイチの男ふたりが、すげえ微妙な空気感で各々、自分の家に戻っていく。何これ。吉本新喜劇かよ。

 

 

そんなこんなで、地震に関してはちょっと自尊心が傷つけられたのと隣の家の人と気まずくなった程度で大した被害はなかったんだけれども、例え直接的な被害がなくとも、その後の俺のメンタルはボロボロなわけ。

 

 

地震がおきた月曜の夜、夜中に何回も小さな揺れが起きて、なかなか寝られなかった。

 

 

火曜の夜、夜中に家がちょっと揺れただけで目が覚めて、そこからは一睡もできなかった。

 

 

水曜の夜、最近おさえがちだった酒をしこたま飲んで、気絶するようにして眠ったのに、夢の中では何回も何回も地震に苦しめられた。

 

 

地震がこんなに怖いなんて、思ってもみなかった。俺、陰キャラのくせに天災なめてた。「地震警報程度でピーピーうっせえんだよ!」とか、iPhoneに当たり散らしてた過去の俺の横っ面をぶんなぐってやりたい。地震、マジで怖い。

 

 

 

■このタイミングで絶叫とかマジでやめて

 

 

そんで、そんな恐怖の一日を過ごした翌日、サッカー日本代表がコロンビアに勝利した。

 

 

俺はその時、自室で本読んでた。何しろ根暗な陰キャラなので、自宅にいるときは本読むか漫画読むくらいしかやることがない。そしたらいきなり、隣の部屋から「うおっしゃああああああ!!!!」みたいな絶叫が聞こえてくる。

 

 

そん時の俺ときたらもう、イロウルに潜入された時のネルフなみに警戒態勢に入っていたわけで、いきなりの騒音とかにマジで弱い。「な、なんじゃああ!!」みたいな感じで、自室を飛び出し、絶叫の源っぽい隣の妹の部屋に突撃する。

 

 

ところが、「な、なんや!どうしたんや!」つって飛び込んだ俺に対して妹は「日本がコロンビアに勝ちそう、ってゆーか勝手に部屋入ってくんなゴミが」みたいな感じで、めっちゃ冷たく対応してきた。一応、心配してやって来た兄に対して、この対応の塩具合。しょっぱい。小3の夏、遊泳中にうっかり海水を飲んで溺れかけた時のことを思い出す。

 

 

…ってかさ。なんなん、お前。この大変な時に、タマついてる奴らがタマ蹴ってるとこみて一人でサカリやがってよ。そんなんで興奮してるから、いつまで経ってもカレシのカの字も舞い込んでこんのやぞ…なんてことを言ってやりたかったが、この場で興奮状態の妹にそんなことを言おうものなら、まず間違いなく木刀で襲われそうだったので、(なぜか妹の部屋には木刀が常備されてある)「あッ、失礼しました…」みたいな感じで、そそくさとその場を後にする。兄の威厳、ゼロ。

 

 

で、結局日本はコロンビアに勝って、超ミーハーな妹は普段サッカーなんてみないくせにここぞとばかりにくるくると舞い踊り、喜びを表現していた。地震の翌日、サッカーで勝利。なんかこの一週間、イベント盛りすぎじゃない?

 

 

 

■何者にも媚びず蹴球を嫌う

 

 

俺がもし、陽キャラなら、「地震でへこみがちな日本に勇気を与えてくれてありがとう!」みたいな感じで、サッカー日本代表に感謝しているところだと思うのだが、何しろ俺は陰キャラである。「サッカー」という文化に対して、敵対心しか持ち合わせていない。

 

 

そもそも、サッカーってつまんないじゃん。俺も今まで、WC熱につられて見たこととか、付き合いで見せられたこととか何回かあるけど、いつも途中で眠ってしまう。

 

 

まず、動いてる人間が小さすぎてよく見えん。サッカー楽しんで見てる奴は千里眼でも体得してんの?サバンナで狩りしながら生計たててんの?視力20くらいあんの?ってレベル。割と大きめの人間ですら小さくてよく見えんのだから、ボールとかマジで、砂粒みたいなもんである。それが、ゴールに入ったと思ったら、入らない。入ったと思ったら、入らない。

 

 

見てる側からすれば目が痛くなりそうなくらい小さい人間が、さらに小さくて見えないくらいのボールを取り合ってワチャワチャする。そんなんを、90分かけて見続ける。そんなんどう考えたって修行以外の何物でもないし、第一、目の健康にめちゃめちゃ悪そう。

 

 

●ナズマ●レブンとか、●ャプテン翼とか、ああいうのは面白い。ボール蹴ったら氷が出るとか炎がでるとか、背景にスタンドっぽい巨大な精霊が控えてるとか、そんなん面白いに決まってるし、見た目が派手で分かりやすいから目の健康にも優しい。なのに、現実のサッカーでは炎、出ない。つまらない。

 

 

…みたいなことを昔、サッカー大好きな知り合いに言ったら、いきなり殴りかかってきた。いや、ちょっとまって!?なんでいきなり殴るの!?仮にこちらに非があったとしてなんでいきなり手、出すの!?まずは話し合いで解決しよう!?

 

 

俺がサッカー嫌いな理由はたくさんあるが、サッカー好きな奴は総じて暴力的というのは大きい。試合中に手が出せない分、日常生活ではすごい些細なことで手、出してくる。

 

 

学生時代、同じクラスでサッカーやってた奴らは皆、そうだった。いじめられっ子の縦笛をトイレに流したアイツも、オタクなクラスメートのアニメ下敷きを真っ二つに割ってゴミ箱に突っ込んだアイツも、俺からほぼ脅すみたいな感じで2000円借りて返さなかったアイツも、皆、皆、サッカー部だった。さすがに大人になってから迂闊に手を出すような奴は見たことがないが、何しろそういう思い出があるので、「サッカー好きです」って言ってる人を見ちゃうとどうしてもマイナスのイメージが沸く。

 

 

そして、俺みたいな陰キャラがこういうこと言うと、必ずといっていいほど悪者扱いされる。「皆楽しんでんのに水さしてんじゃねーよ」とか「サッカー楽しめない根暗は●ね」とか。なぜなら、サッカーにはなんか明るくて楽しくて健全なイメージがあって、サッカー好きな奴は正義だっていうのが大多数の意見だからだ。そして、マジョリティが作り上げた正義に歯向かうような暗くてキモイ陰キャラは、陽キャラによって処刑されてしまうのがこの社会の掟なのだ。

 

 

でもさ、この世の中って、明るいこととか健全なこととかばっかじゃないじゃん。

 

 

明るい奴って、たいていの場合社会に受け入れられるってことになってるけど、そういうノリが無理な奴だって、いっぱいいるわけじゃん。そんで、そういう世間一般で「楽しい」とされてることとか、明るいノリとかになじめない暗い奴らが切り開いてきた陰湿な趣味の領域だって、この世の中にはめちゃめちゃいっぱいあるわけじゃん。

 

 

俺はもちろん、一人の陰キャラとして、そういう根暗な趣味が人から褒められるような、そんな社会になって欲しいとかは思わない。人から後ろ指刺される楽しみ、みたいなものだってあるわけだし。

 

 

でも、なんか犯罪犯した奴がコリン・ウィルソンの犯罪コレクションシリーズとか、18禁の同人ゲームとか、『LO』とか持ってたらやいのやいの騒ぐくせに、「サッカーやってた」って騒ぐことの一切ないこの世の中が、なんか、非常に居心地悪い。

 

 

5年間触手ものオンリーで抜き続けた結果、「俺にはもはや、触手の気持ちが分かる」と豪語するに至った変態とか、「性行為は青姦しか認めねえ」という信念を貫きすぎるあまり、30手前にして未だ童貞を貫き通し続けている変態とか、俺もこれまで、様々なタイプの気持ち悪い漢たちを見てきたが、少なくとも彼らは、目の前にいる人を物理的に傷つけたり、人のものを壊して平気で笑ったりするような異常なメンタルを持ち合わせてはいなかった。なのに、サッカーやってた奴らときたら…

 

 

まあ、もちろんサッカー一筋の人間だって、悪い人ばっかりではないのだろう。俺の学校のサッカー部は総じてクズの集まりだったが、野球部はそこそこ強く、野球部出身の人たちは虐めとか一切やらず、陰キャラにも優しかった。これはスポーツばかりに言えることではないが、総じて、何事かに一生懸命取り組んでる人は人間的にできているというパターンが多かったような気がする。だから、サッカーだって、一生懸命取り組んでいる人は人間的にできた人ばかりなはずだ。(多分)

 

 

ただ、俺の中でのサッカーの印象は最悪だ。これはもう、今後、一切変わることがないだろう。

 

 

ワールドカップ。これから先、日本がどこまで勝ち進もうが、観るつもりは一切ない。これが、陰キャラな俺の世間に対するせめてものレジスタンスである。

 

 

 

 

陰キャラ的・本記事への自己評価

 

★★☆☆☆(2/5)「なぜなにを書いてもお前は暗いのか」

 

 

陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。

 

なんか最近、「ブロガー」と呼ばれる人たちのブログを結構読むようになった。そんな中で「俺もこんなポップで楽しい記事が書いてみたい!」と思い立ち、最近のホットな話題を攻めてみたわけだが…なにこれ。

 

何を書いても暗くなる。モチベーションはどうあれ、最終的には必ず暗い方向に向かう。これが俺の、陰キャラたるゆえんなのだろうか。主張があるのはいいが、内容が独りよがりでただの日記帳なので、★2。

 

もっと、たくさんの人を笑顔にできるような、そんな素敵な記事が書きたいです!(迫真)

 

 

陰キャラvs結婚を強要してくる人

陰キャラは友達が少ない。
 
 
当然、俺も陰キャラゆえ、友達が少ない。
 
 
だが、友達が少ないからと言って、悪いことばかりではない。友達が少ないゆえに、回避できるような厄介なイベントもまた、この世にはたくさんあるのである。
 
 
その一つが、結婚式だ。
 
 
 
 

■陰はまた、陰を引き付けるのか

 
 
 
俺は今、20代半ばである。
 
 
俺はなにしろ友達が少ないのでよく分からないのだが、世間的に見れば、この年齢になると人間は「結婚」ということをするらしい。今の俺の年齢あたりが「第一次結婚適齢期」というやつらしくて、そこを逃すと大体の人間は30過ぎとか、40過ぎとか、その辺にならないと結婚しないんだとか。
 
 
…まあ、俺的にそこは別にどうでも構わない。そもそも俺は、自分の部屋に肉親が入ってきただけでパニックに陥ってしまうようなタイプの人間だ。「結婚適齢期」だかなんだか知らないが、そんな俺みたいな人間が赤の他人と結婚して、一つ屋根の下で一緒に暮らすとか、どう考えても荷が重い。
 
 
ガラスの仮面』でいえば、冒頭の「出前120軒組手」をこなしつつある北島マヤの前にいきなり月影先生が出てきて「お前、明日の舞台で『紅天女』主役やれよ」と言うようなもんで、その頃のマヤLIKEな俺にとってはもう、「紅天女」とかいきなり言われても、「なにそれ、紅生姜の親戚かな?」くらいの感じで、ちょっと良さような種類の牛丼のつけあわせくらいにしか、結婚というやつを認識していない。それくらいの段階だ。
 
 
そんな俺はおそらく、陽キャラたちの作り上げた社会の中では負け組に位置づけられるのだろう。
 
 
だが、類は友を呼ぶというか、陰キャラは陰キャラを惹き付けるというか、俺のまわりでは不思議と未だに「結婚」に関する浮いた話を一切、聞かない。たいていの奴が、未だに冒頭の北島マヤで、延々と年越しそばを出前し続けては、杉子ちゃんにネチネチと陰湿な嫌がらせを受けているのである。
 
 
だから、俺は今まで、友人の結婚式というやつに呼ばれたことが一度もない。
 
 
こんなことを言うと陽キャラには引かれるかもしれないが、俺はこの状況を非常に良いものだと思っている。一体全体、何が悲しゅうて3万払って一日潰して、他人の人生の「幸せの一ページ」の背景画像なんぞになりに行かにゃあならんのか。
 
 
…そんなことを思ってしまうのは、俺が根暗な陰キャラだから…というのも勿論そうなのだろうが、どうやらそれだけではなさそうである。「発言小町」とかで個人的にリサーチしたところ、他人の結婚式に対してこのようなネガティブな印象を持っている人間は、決して少なくないようなのだ。じゃあ、もうやめちゃえばいいじゃん。結婚式。
 
 
 
 

■「結婚」を強要する人たち

 
 
そんなこんなで、俺と結婚というやつとの距離は非常に遠い。
 
 
俺が結婚式という文化を平然とdisっているのも、それが俺にとって絶対に手に届かないと思われるようなところにあるからであって、もしも間近にそれがあるならば、自分勝手な俺はこんなことは絶対に言わないはずだ。例え『LO』が世間の人間からどのように思われていようと、俺は安易に『LO』の悪口を言ったりは絶対にしない。今、机の抽斗を開ければ、『LO』はそこに何冊も入っているからだ。それと同じだ。
 
 
 
俺は、今みたいに便利で、人間が一人で生きていくのにそれほど不自由がない世の中において、他人と一緒に生きるのにどう考えても向いていないような若者が焦って結婚などしなくても良いと思うのだが、世間にはそれを許さないような存在もいる。
 
 
俺にとって、それは祖父と祖母だ。
 
 
 
 
 
こないだ、祖父が85歳の誕生日を迎えた。それで、お祝いのために祖父宅に赴いた俺であった。正月はなんのかんのあって顔を出せなかったので、じいちゃんの顔を見るのは結構、久々である。
 
 
本来ならば孫として、喜ぶべきシチュエーションなのだろうが、俺の気持ちは重い。
 
 
じいちゃんとばあちゃんは、俺と顔を合わせると「結婚はまだか。」とか「いい人はおらんのか。」だとか、「彼女はできんのか。」だとか、色々聞いてくるからである。今なら、そこに「仕事はどうするんだ。」という必殺パンチラインが追加されてしかるべきなのだろうが、仕事を辞めたことは二人には明かしていないので、とりあえずそこは安心だが。
 
 
 
 

■ツープラトンの攻撃

 
 
じいちゃんの家に到着してから二時間ほど経った頃だろうか。酒もある程度進んで(俺は断酒中なので飲めなかったが)気持ちよくなったじいちゃんが、ついに俺に結婚の話を切り出してきた。
 
 
「なあ。じいちゃんが死ぬまでに、曽孫の顔を見せてくれや…」
 
 
…じいちゃん。言葉重い。いきなり言葉重いよ。まさか己の命を盾にして、俺に結婚を迫ろうとは。開幕当初で、いきなりメガンテを放ってくるじいちゃんに対して、俺としてはもう、苦笑いである。「こんな孫でごめん」って、心の中で土下座するしかない。心土下座。するとそこにばあちゃんも参戦してくる。
 
 
「ほんまになあ。だいたいあんた、世間体ってもんがあるやろ。あんたがはよ結婚してくれんと、ばあちゃんは他の人にそれ聞かれた時、なんて言うたらいいんや。」
 
 
ここでばあちゃんは「世間」という概念を持ち出してきた。じいちゃんがメガンテなら、ばあちゃんはミナデインだ。ばあちゃんが週二で通う「カーブス健康体操」のみんなの絆の力が、今ここで奇跡を生むんだ。
 
 
…それにしても、なんで顔も見たことがないようなばあちゃんのカーブス友達からのばあちゃんに対する評価を向上させるために俺が結婚しなければならないのか、全くもって意味が分からないが、とりあえず俺は小さくなる。
 
 
「あんたは長男の長男やのに…はよ結婚してくれな、安心できひんやないか。」
 
 
さらに追い討ちをかけるばあちゃん。…そうだった。あんまり親戚との付き合いがないから忘れていたが、そういえば俺の父は長男で、かくいう俺も長男であった。ついでに言うなら、じいちゃんも長男だ。(ひいじいちゃんについては知らない)
 
 
つまり、俺が結婚せねば俺家の少なくとも三代に渡る長男リレーが、ここで途絶えてしまうわけであって、これはいきなり、荷が重くなってきたぞ。俺、さらに小さくなる。
 
 
「だいたいな、お前はなんや、顔も男前やし、ちゃんと働いてお金もあるのに、なんで女の子と付き合おうとせえへんのや。ちょっとおかしいんと違うか。」
 
 
じいちゃん、カットイン。御年80を超える老人二人のそれとはとても思えない抜群のチームワーク。褒めの要素からの突き放し攻撃だ。
 
 
身内の口からでる「男前」ほど信用できないものはないことは周知だが、うちのじいちゃんに至っては、過去にフットボールアワーの岩尾を「男前」扱いしたことがある御仁だ。そんなじいちゃんに男前扱いされても全然嬉しくないし、なんなら脳裏にチラつく岩尾の顔と自分の顔がオーバーラップして、ちょっと嫌な気持ちにさえなる。
 
 
っていうかじいちゃん、実は俺もう、ちゃんと働いてないんだよ…じいちゃんによってさらなる罪悪を植え付けられた俺はミジンコのごとく小さくなり、心の中では大和田常務ばりの渾身の土下座を決めまくる。「変だ」とか「おかしい」とか言われると、未だ厨二病を引きずる普段の俺ならば喜んでしまうところなのだが、さすがにこのシチュエーションでは喜べない。
 
 
もはや一切の弁明を諦め、寂海王のごとくタートルポジションを決め込み、ただ一刻も早く、この時が過ぎ去ってくれるのを待つ俺であった。
 
 
 

■戦いを終えて

 

 
そんなわけで、「結婚」をネタに完膚なきまでボコボコにされてしまった俺であるが、その後もじいちゃん&ばあちゃんコンビによる死体蹴りは一向止む気配がなかった。
 
 
やれ姿勢が悪いだの、やれ声が小さいだの、酒に酔った老人特有の妙な元気さと勢いでもって繰り出されるdisの嵐が、陰キャラ・俺に牙を剥く。俺はひたすらに耐え続け、帰る時にはなぜか図書券とチャンジャをもらって、祖父宅を後にしたのであった。このプレゼントは、じいちゃん&ばあちゃんなりの、俺への気遣いだったのだろうか。
 
 
それにしても、なんで結婚しないということで、これほどまでにけちょんけちょんに貶されねばならないのだろうか。
 
 
じいちゃんもばあちゃんも、昔の人だ。18とかの時に親同士が縁談を決めて、出会って即日、有無を言わさずに結婚させられたらしい。
 
 
そういう人たちにとって、「結婚」ということはしてて当然、ごくごく当たり前のものとして映るというのは何となく理解できるのだが…今はもう、そんな時代でもないのだから、結婚しない姿勢を見せているからといって「おかしい」まで言わなくったっていいじゃん…というのが、今回の戦に対する陰キャラ・俺の素直な感想だ。
 
 
加えていうならば、俺は今まで俺のことを基本的に嫌な気持ちにしかしてこなかった「世間」とかいう奴らからの体裁を守るために、軽はずみな結婚をする気持ちなどさらさらないのである。
 
 
いつか、「世間」も「世間体」も全て度外視で、「この人と一緒にいたい」と思えるような人と出会えるまで、結婚の話は保留にしておきたい…というのは、この年の男子にしては、あまりにも子供っぽすぎる欲求だろうか。
 
 
だが、陰キャラな俺にとって、結婚というのはそういうものである。
 
 
それはまだまだ、手の届かないところにあるのだ。
 
 
 
 


 
陰キャラ的・本記事への自己評価
 
★★☆☆☆(2/5)「書いてて心がつらかった。」
 
 
 
陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。
 
 
 
実話をもとにした記事。結婚式に対するルサンチマンのくだりは個人的にうまく書けたのではと思う。だが、じいちゃんとばあちゃんにいじめられるくだりはほぼほぼ実話そのまんまなので、書いていて非常につらかった。陰キャラな俺は基本的にはこの世界でロクな目にあわないので、実話系記事は書くのがつらい。
 
 
 
本当は、最後の結婚に関して個人的な意見を述べるところでもっと言いたいことがあったのだが、書いてる途中に「無職が何語っちゃってんのー(☝︎՞ ՞)☝︎」とばかり、脳内世間に煽られてしまったため、だいぶ主張を弱めて記事にした。
 
 
自分に負けてしまった感が否めないので、★2で。
 
 
 
 

「二辛」考

先日、街を散歩していると小腹が空いたので、CoCo壱に入ることにした。
 
俺は現在、無職なので昼飯にCoCo壱を喰らうなど王侯貴族並みの豪遊と言わねばならないのだが、どうしてもあのチーズカレーが食べたくて、CoCo壱の門をくぐった。
 
だが、ここで問題が生じる。なにしろ俺は無職だ。金がない。ゆえに、昼飯などという、食べても食べなくてもどちらでも良いようなブルジョワジー特有の娯楽に浸るに至っては、当然のようにコストカットを要されるわけである。
 
ならばどうするか。席についた俺の目に、CoCo壱の「とび辛スパイス」がうつった。
 
…ここでちょっと注意しておくが、俺にとって、CoCo壱のチーズカレーは常に「二辛」だ。それ以外はありえない。あの、常人の舌には「辛い」と「激辛」の中間程度に属するであろう二辛のCoCo壱カレーを、あえてチーズでマイルドにして喰らうという発想が、俺の舌根をたまらなくとらえて離さないのである。
 
しかし…CoCo壱ユーザーの方にはすでにお馴染みの通り、CoCo壱で二辛を頼むと追加で金をとられる。なんと普通の辛さに比して、42円もの料金をとられるのである!これは暴利と言わねばなるまい。うまい棒にして4本分、5円チョコなら8個分、みんな大好きよっちゃんイカだって、42円ありゃお釣りが来るぞ。一体全体、カレーを辛くするのに何が悲しくて42円もの手間賃をとられねばならないのだろうか。
 
そんなプロレタリア文学を彷彿とさせるような怒りを抱えた俺を救済するのが、この「とび辛スパイス」なんである。使い方は簡単。カレーにかけるだけ。そしたらカレーが辛くなる。以上。つまり、いったん普通の辛さのカレーを頼んでおいてから、「カレーを辛くする」という作業を自分でやることにより、42円を節約してしまおうということだ。今流行りのDIYの精神だ。これで俺も、工具男子の仲間入りである。
 
ところがところが、ここでまた問題が生じる。それは、俺の舌がそれほど正確にCoCo壱の二辛の辛さを把握していない、ということだ。
 
なんせ、俺は単なるCoCo壱好きな男であってジャンキーではない。昔、知り合いに平日は一日に二回、CoCo壱に行くという生活を三年ほど続けている変態がいたが、俺のCoCo壱レベルはそういう奴らを90とか100とかに規定した場合、精々10とかその辺である。いくらCoCo壱のチーズカレーが好きと言っても、年に3〜4回くらいしか食わない。毎日食ってたら流石に飽きるだろうし。そんなCoCo壱レベル10程度の俺が、どうしてとび辛スパイスを使用して二辛の辛さを正確に再現することなどできようか。いや、できるはずがない。(反語)
 
うーん、これは一体、どうすればよいのか。俺は本格的に困ってしまった。
 
ここはもう、敢えて42円という大金を払うことで完全なる「二辛」を喰らい、満足感と代償に忌まわしき資本主義社会の犬となるべきか。はたまた、貧乏人の矜持に殉じてとび辛スパイスを使用し、「二辛」とも「一辛」とも「三辛」ともつかない中途半端なカレーを食して中途半端な満足感と共に店を後にするべきなのか…
 
金とプライド。対立する二つの概念は俺の脳内で卍となり、巴となって渦をまく。
 


 

◾️「二辛」とはなにか

 
ここで、悩む俺に天啓とも言える考えが閃く。
 
「そうだ!普通の辛さをチョイスして、店員さんにとび辛スパイスをかけてもらえばいいじゃん!!」
 
…いや、待て。天啓ちょっと待て。それじゃあ結局、店側にサービスを要求しているわけであって、お店の人に「その場合は別途で42円かかるよ。」とか言われる可能性があるぞ。そこで踏みとどまって「はぁ!?なんでやねん!ただでやれや!!」みたいなことを言えば、そりゃあもう、速攻で出禁案件だ。出禁だけで済めばまだいい方で、今みたいなデジタル密告社会でそんなことやろうもんなら、即ツイッターで晒しあげだ。CoCo壱二辛クレームおじさんとして、俺の名は一部のインターネットで後の世まで語り継がれてしまうだろう。
 
ってかそもそも、俺にそこで踏みとどまる度胸なんてないし、さらによく考えたらそもそも店員さんに「とび辛スパイス…かけて欲しいんですけど」みたいなこと要求する度胸が既になかった。コミュ障の陰キャラを舐めてはいけない。天啓、ダメダメである。
 
そんなダメな天啓をふと、脇に追いやって、俺はこんなことを考えてみた。
 
仮に、だ。コミュ障の俺がめちゃめちゃ頑張って店員さんに声をかけたとして、さらに、仮に店員さんがめちゃめちゃいい人で、無料でとび辛スパイスによる二辛メイキングを請け負ってくれたとして…果たしてそうやって出来上がったカレーは、本当に「二辛」と言えるのだろうか?
 
…いや。やはりそれは「二辛」とは言えないだろう。なぜなら、店員さんもまた、俺と同じように二辛の辛さを正確に把握していない可能性が大いにあり得るからだ。
 
俺はCoCo壱でバイトしたことがないから分からんのだけれども、おそらく、CoCo壱では出来上がったカレーごとに店員さんがとび辛スパイスをかけて辛さを調節するような、非効率的なことはやっていないはずである。多分、比較的よく食べられるであろう三辛程度までは、個別にカレー鍋が用意されており、そこで工場から送られてきたそれぞれの辛さ用のカレールーをグツグツ煮込んでいる…CoCo壱のキッチンは、そんな感じなんではないだろうか。(違うかもしれないが)
 
では、仮にそういったシステムによって二辛が管理されていたとして、果たしてそれは完全なる「二辛」といえるのだろうか。
 
なるほど、もしも仮に二辛のカレーのスパイス量が、厳密なレシピに基づいて、工場の機械やらなんやら使って徹底的に管理されていたとすれば、それはかなり完全な「二辛」といえよう。しかし、やはりそれもまた、完全なる「二辛」とは言えないのではないだろうかと、俺は思うのだ。
 
なぜといって、もし仮にそういったシステムで二辛が管理されていたとしても、梱包の際にスパイスの量が微妙にズレが生じるだろうし、さらにいうならば、お店で店員さんがカレーをよそう際にも、スパイスの量にズレは生じるだろう。一皿の二辛の理想的なスパイス量Xに対して、そのお鍋でつくられた二辛皿a.b.c.d....の全てがXを保持することなど、ほぼほぼあり得ない。ズレは必ず、生じるのである。
 
…そもそも、「二辛」とは何なのか。基準はもちろん、CoCo壱の偉い人たちが決めているのだろうが、CoCo壱の偉い人が「うーん、二辛の辛さは、このくらいで!」みたいなことを言ったとして、そういう過程を経て今、食べられている二辛達は本当に完全な「二辛」なのか?人間の脳とはいい加減なものだ。二辛の基準を決めた人だって、体調によっては別の日に食べた二辛が一辛に感じることもあるかもしれないし、三辛に感じることもあるかもしれない…
 
そう考えると、この世に完全な「二辛」なるものはそもそも存在しないことになる。我々CoCo壱ユーザーの前には「二辛」という概念がただあるだけなのであって、誰も本当の「二辛」の姿は知り得ない……
 
そうか。だからこその「42円」なのか。42円さえ払えば、ひとまずは出てきたそれを「二辛」であると信じることができる。店側に全てを委ねた結果、出てきたそれが「二辛」であるという事実を信じながら安心して食事を行いたい。そんな人間の欲求こそがこの42円という価値になって現れたのであり、これは「二辛」を疑ってしまうという業に囚われたCoCo壱ユーザーたちにとっては、精神的な免罪符として機能するものなのだろう。
 
そう考えると、42円という金は、決して高くはないのかもしれない…
 
 
 
 
 
……店に入ってから30分後、俺は満足感を顔に浮かべながら、CoCo壱の門を出た。手に握られたレシートには「チーズカレー  二辛」と、はっきりと印字されていた。
 
この日、俺は隷属した。資本主義にではない。「二辛」の犬になったのだ。もう二度と、俺の目の前にとび辛スパイスがチラつくことはないだろう。

CoCo壱、ラブ。
 
 
 
 
 
 
陰キャラ的・本記事への自己評価
★★☆☆☆(2/5)「なんだこれ……」
 
陰キャラはよく自己評価をする。他の人が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。
 
酒浸りの生活を続けていた結果、体調を悪くしてしまったので断酒をすることにした。酒を使って日常から逃げるような生活をしていたので、酒を飲めないとやることがない。じゃあブログでも書くか、ってなって出てきた記事がこれってどういうことよ。俺はよっぽど、書くことが何もない退屈な毎日を送っているらしい。

まぁ、口には出さないだけで大抵の陰キャラはこういうこと考えながらカレー食ってるはずだ。多分。
 
 
 

素敵な人

ヤバい。なんか気がついたら年が明けていた。しかも平成、今年で30年になるらしい。平成チルドレンがもう三十路。ヤバすぎる。平成生まれのAV女優が騒がれていたのがつい昨日のことのように思えるが、気がつけば俺たちのつぼみんだってもう三十路だ。大変なことだ。

 

 

そして俺。俺はまぁ、まだ30には若干手が届かずってとこなんだけれども、明らかに30の足音は聞こえている。ついこないだまで、「20代前半」という高貴な称号を与えられていた俺だが、気がつけば「四捨五入したら30」とか言われるようになり、友人と会えば「俺らもう…アラサーなんだし…」とか言いながらため息をつくようになり、妹に至ってはもう俺のことを完全にオッサン扱いである。「最近、お兄ちゃんの体から満員電車で嗅ぐおじちゃんのニオイがする」とか言われた時の俺の絶望感ときたらもう。妹よ、お前の血は何色だ。30はもう、目前なのである。

 

 

ところがところが、俺ときたらどっこい、働いていない。動かざること山の如し。泰然自若と構えて、どっしりと働かない。安定感のある無職である。

 

 

…まぁ、そんなこと言いつつ実はこないだまでちゃんと働いていたんだが、なんか色々あって仕事を辞めることになって、今は絶賛、ニート中なのだ。しかも親元で、だ。加えて俺、車の免許持ってない。でも酒は毎日飲む。ひどい時は昼から飲む。立ち飲み屋とかで、60くらいの明らかに酒飲むこと以外やることなさそうなおじちゃん達と並んで、昼からメガジョッキのハイボールとかゴクゴクやってる。「無職」「実家暮らし」「無免許無資格」「アル中予備軍」そして、「陰キャラ」。ヤバいヤバい。これはツモってる。麻雀で言えばまるで国士無双だ。次のターンでスネ夫の牌を引いてしまったら、問答無用で「ドンジャラ」である。俺にとっての、スネ夫牌とは果たして、何だ。(※注 ・俺は麻雀をやったことがありません)

 

 

そんなこんなで、もう物件で言えば大島てるがアップを始めるくらいの事故物件な俺なんだが、それでも親戚の子供たちへのお年玉はしっかりあげた。さすが俺。ロウフルだ。こういうところは意外とちゃんとしてる。そんで、正月早々の親戚の集まりで酒を片手になんか色々くっちゃべっていた訳なんだが、そんな中でふと、「素敵な人」の話になった。「素敵な人」ってどんな人か。あなたの周りにいる「素敵な人」には、どんな人がいるか。なんか、◯◯◯◯(好きな四文字を入れよう)が絡んだラジオ番組みたいに、変な方向にピースフルな会話だが、俺の頬には冷たい汗が流れる。「素敵な人」だと……

 

 

別に、俺が無職でアル中予備軍だから、こういう会話に対して後ろめたさがあったとかそういうわけではない。例え労働に身をやつしていようが、俺は全然素敵じゃないことは、すでにこの何年間かで証明済みである。故に俺は、今更素敵でないことに対しての後ろめたさなど微塵も感じない。非常にロジカルな思考だ。じゃあなんで俺がまるで関羽に睨まれた魯粛のように冷や汗ダラダラなのかというと、気づいてしまったのだ。



俺の友人たちに、素敵な人が一人もいないという事実に。

 

 

 

▪️すごーい!君は、精神状態が不安定なフレンズなんだね!

 

…例えば友人のNだ。彼女は俺にとってはすっごく貴重な「女友達」と呼べる存在であり、俺が唯一、LINEで躊躇なくスタンプを送れるほど仲が良い大切な友人なのだが、何しろ、精神が不安定である。

 

 

自傷経験があり、オーバードーズの経験があり、さらにしょっちゅう、薬や酒を飲んでは友達とケンカしたり、親とケンカしたり、会社の上司とケンカしたりしているらしい。どんだけケンカ好きやねん。さらに彼女は過去に、夜の仕事をしていた経験があるのだが、その際に交際していた年上のおじさまに散々貢がせたあげくポイしたなんて話はザラ。興味本位で「AVみたいなことがしてみたい!」と思い立ち、おじさまに女物の下着を着せて仕事に向かわせたりとか、乳首にローターを装備させてコンビニで買い物をさせたりとか、そんなこと、マジでやってたらしい。え。こいつ、ほんまにアカン奴やんけ。

 

 

そんな彼女だが、俺にはとっても優しく、知り合ってから5年が経とうという今になっても、未だに丁寧語で接してくれる。なにかとヤバい奴という印象のある女性だが、時折、ネットで拾った怖い画像を深夜3時とかに俺に連投で送りつけてくるというチャーミングな一面もあったりする。かわいい(白目)

 

 

…例えば友人のKだ。彼は大学時代の先輩であり、非常な博識さと「年齢+5歳に見られる」と言われる落ち着いた雰囲気で、男女問わず高い人気を誇っていた魅力的な男性なのだが、何しろ、精神が不安定である。

 

 

自傷経験があり、オーバードーズの経験があり、さらに酒や薬が効いてくるともう、自分の話しかしない。話が上手いので最初はそれでも違和感がないが、3回、4回と一緒に飲みに行くうち、独演会の会場に呼ばれたお客さんみたいな気分になってくる。しかも彼は、人の話を聞く態度がめっちゃ悪い。こっちが一生懸命話したり、相談に乗ったりしているのに、平気な顔で片手間にパズドラとかやってくる。しかも、リセマラしてる。本人曰く「俺はマルチタスク型だから」とのことだが、案の定、話の要点は全く入っていないようで、もう一回おんなじ話をさせられたことが何度もある。一度、あまりに腹に据えかねて、おんなじことやってやったらめっちゃキレられた。天下の人に背くとも、天下の人に背かせはしないタイプの人間らしい。曹操かお前は。

 

 

あれ。こいつの話してるとなんかマジで腹がたってきた。ちなみに俺は、こいつに関しては「もう付き合いきれん」と思うことがあって、ちょうど一年くらい前から連絡をとっていない。友達じゃないじゃん。LINEも全部未読スルーしているのだが、未だに一ヶ月に一回くらい、彼からのLINEは届く。怖い。でもなんとなくブロックはできない人情派な俺。ロウフル。

 

 

…例えば、友人のDだ。人に対する敷居が低く、誰とでも分け隔てなく接することのできる彼はコミュニケーション能力が非常に高く、新卒で某有名企業の内定を一発で勝ち得てしまうほど優秀な人物なのだが、何しろ、精神が不安定である。

 

 

自傷経験があり、オーバードーズの経験があり…というのは前の二人と同じなのだが、こいつの場合は自傷も服薬も享楽的にやっているところがバーサークである。好きなアーティストが自傷していたから、という理由で十代の頃に割とシャレにならない自傷をし、好きなアーティストに影響された結果咳止めブロンをアルコールで割って飲んでラリり、睡眠薬をアルコールで割って飲んでラリり……って、お前はアレか。80年代とかにパンクにハマった青年か何かなのか。ネトゲもあれば動画サイトもある、AVもあるみたいなこの時代に、何に不満があってお前はそこまでとんがれるんだよ。

 

 

さらにこいつは、どうやらセックス依存症の気があるらしく、年がら年中、まるで水龍敬ランドの住人が如く、不特定多数の相手と爛れた性行為を繰り返している。社会人になってからももちろんヤリヤリで、勤めている会社で彼と関係を持っている女子社員の数は既に二桁に達しているというのだから驚きだ。なんでクビにならないんだろう。そんな彼だが、「女の子の家に遊びに行ったら破れたズボンを繕ってくれたので、パンイチになった勢いでなし崩し的に最後までやっちゃった」という事件に味をしめて、手持ちのズボン全ての膝を煙草で焦がし、穴あきにしてしまったという愛すべきエピソードがあったりもする。なんて真っ直ぐな男なんだろうか。

 

 

 

▪️一番のクズは誰だ

 

…とまぁ、こんな感じで、俺の友人には人格的に問題のある奴が多い。今回ご登場願ったのは友人(っていうか知り合い)の中でも特にヤバいのけものフレンズたちなのだが、基本的に俺の交友範囲にいる人々には自傷経験があり、当然のように精神のお薬を服用している。ジャパリパークっていうか、ドグラマグラって言葉が思い浮かぶ、俺の素敵な友人たち。素敵ってなんだよ(哲学)

 

 

…なんてことを正月早々考えては、親戚の前で冷たい汗を流していたわけなんだが、まぁ、結局本物のクズってのは、職にもつかず、パラサイトシングルを決め込み、酒を飲みながら友人を貶めるような文章を書いている、今の俺のような人間のことを言うのだろう。2018年もいろいろあるだろうが、これからもクズはクズなりに、陰キャラは陰キャラなりにしぶとくこの現代ジャパンをサヴァイヴしていきたい。

 

 

2018年、頑張るぞー!

 

 

ってなわけであけおめ。イエーー(強引)

 

 

 

 

陰キャラ的・本記事への自己評価

★★☆☆☆(2/5)「さっさと働け。」

 

陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。

 

なんか気づいたらかなり更新が開いていた。当然、陰キャラである俺の身に面白いことなんぞそうそうおこるもんでもないので、更新があくのは当然のことかもしれない。はてなからの「そろそろ記事を書いてみませんか?」メールがマジうざい。

 

本記事に関しては、「そりゃ、こんなもん書いてる奴は職も失うし元カノからはLINEもブロックされるしFGOのガチャで爆死もするやろ。」みたいな感じ。無職なのに北斎ちゃん(ってゆーかお栄ちゃん)欲しさに2万課金してでませんでした。天罰です。ええ。笑ってやってください。

 

 つーかマジ、働かねえと。なんて思いながら、今もやっぱり、酒飲んでる。最近話題の、ストロングゼロだぞ。俺の明日は、果たしてどっちだ。

 

 

陰キャラvs初対面の人

キャラは基本的に友達が少ない。
 
当然、俺も陰キャラであるゆえ、友達が極端に少ない。
 
しかし、陰キャラな俺にも一応、友達はいる。今回はそんな俺と、高校時代からの唯一の友達といっていいTくんとの間に起こった、ある騒動のお話だ。
 
これは陰キャラだけでなく、陽キャラの皆にも聞いて欲しい話である。それでは、いってみよう。
 
 
 

▪️陰キャラは何気に人が好き

 
 
それはこないだの水曜の夜のこと。
 
AVを一通り見たあとでAVを反芻してオ◯ニーに励むという、イメージ力を鍛えるための高度な視覚化トレーニングに勤しんでいた俺のもとに、旧友・Tくんからの一通のLINEが届いた。
 
LINEにはこうあった。「今度の土曜、暇?」
 
Tくんは用事がないのにLINEを送ったりはしない人である。「土曜日暇か?」と聞いてきたということは即ち、「土曜日飲みに行こう」と言ってきているのと同義だ。
 
俺は「ひま」とLINEを返す。案の定、すぐにTくんから「飲みに行こうぜ」という旨のLINEが届く。俺は喜んでOKした。
 
なにしろ、Tくんは大学を卒業した後、東京の企業に就職した人だ。(※俺もTくんも大阪の人)直接会う機会が滅多にないので、彼からの「飲み行こうぜ」LINEは本当に嬉しい。
 
ここで少し注意しておきたいのだが、陰キャラは意外と人が好きである。友達付き合いも決して悪くない奴が多い。
 
ただし、陰キャラは自分からは絶対に誘わない。断られるのが怖いからだ。
 
さらに、大抵の陰キャラの脳内には「断られた→嫌われた」に自動変換するツールがデフォルトでインストールされている。「嫌われることを何より恐れて行動せよ。」そしてこれは、陰キャラならば必ず守らねばならない鋼の掟なのだ。
 
ゆえに、陰キャラは自分からは誘わない。誰かと飲みに行きたくとも、自分からは決して誘わず、誰かが誘ってくれるのをじーっと待っている。でも、ほとんどの場合、誰からも誘われない。だって、陰キャラなんだもん。
 
皆、もっと僕を飲みに誘って。(涙目)
 
 
 

▪️陰キャラ流・人と会う前の準備の仕方

 
 
そんなこんなで迎えた土曜の夜。Tくんとの久々の再会ということで、俺はかなり張り切っていた。
 
俺は基本的にお一人様の陰キャラなので、普段、入りたくとも入れない店とか結構ある。「この機会に攻めたれ!」ということで、そんな店をスマホに何軒かメモっておいた。
 
さらに、高校時代から続くTくんとの鉄板の掛け合いも脳内で予習復習済みだ。Tくんお気に入りの、高校時代の面白エピソードもしっかり抑えておいて、ぬかりない。
 
くわえて、Tくんは家庭の事情がちょっと複雑なので、そこは絶対にふれてはならないという約束事を、五体にしっかりと叩き込む。友人だろうがなんだろうが、人に深く干渉してはならないし、人の地雷を踏むことだけは絶対に避けなくてはならない。これもまた、陰キャラの守るべき鋼の掟である。
 
その後、お風呂に入って身を清め、座禅を20分間組んで精神を統一し、中学生の頃おばあちゃんからもらったお守りを装備した上で、いよいよTくんとの邂逅の地、東梅田駅に向かう俺であった。
 
…陰キャラは、友人と飲みに行くのにもこういう準備の仕方をする。
 
陰キャラは、ここまでやる。
 
 

▪️東京は怖いところやで

 
そんなこんなでやってきた東梅田駅だ。
 
大阪人の皆ならご存知の通り、この駅周辺に広がる地下街は大阪随一の規模を誇るばかりでなく、ひたすらにスクラップ・アンド・ビルドを繰り返し膨張する無限生成ダンジョンとしても知られている。
 
「大阪人は梅田の地下街で待ち合わせができるようになって一人前」とは、幼少の頃より何度も聞かされてきた先人の格言だが、俺もこれまでにこのダンジョンで友人と待ち合わせた結果、お互いがお互いの待ってた場所を行きつ戻りつして入れ違いになり続けるというサマルトリア王子状態を何度となく経験している。
 
非・大阪民の皆は軽い気持ちで梅田を待ち合わせの場に使わないよう、くれぐれも注意して欲しい。
 
しかし、俺もTくんもなにしろ生粋の大阪民。アリアドネの糸とかGPS検索とかなしでも、スマートに梅田の地下街で待ち合わすことができる。俺は駅を降りると、高校時代からTくんと何度も待ち合わせた約束の地・泉の広場へ直行した。
 

f:id:hara-hiro-da-bu:20171016231452j:plain

(画像は「大阪待ち合わせ場所.com」様より)
 
ここ、泉の広場には、ご覧の通り噴水っぽいモニュメントがある。非常に目立って分かりやすいので、待ち合わせとかには結構よく使われる、大阪っ子にはお馴染みの場所だ。まぁ、幽霊がでるとかなんとか、不穏な噂もあるのだけれど。(興味のある方は是非、調べてみてください)
 
そんな泉の広場に、待ち合わせの5分前にやって来た俺だが、東京にて絶大な社会人力を身につけて帰ってきたTくんは、俺よりもさらに前に到着していたようだ。これが10分前行動というやつか。
 
…だが、そんなTくんを遠目に見ていると、少しおかしなことに気がつく。それが何かというと、
 

f:id:hara-hiro-da-bu:20171016231600j:plain

 
…こんな感じで、明らかにTくんのパーソナルスペースと思われる場所に、見知らぬ人間が立っているのである。
 
……これはもしかして、アレじゃないだろうか。背後霊というやつじゃないだろうか。
 
なにしろ、Tくんは現在、東京住みだ。ものの本で、東京は何気に魔スポットのメッカだという話を読んだことがある。平将門首塚とか、お岩さんの祀られてる神社とか、強烈なパワーを発する魔スポットが東京各所に点在しているようだ。だとしたら、そんな魔スポットに引き寄せられた霊がTくんに憑依し、背後霊となったとしても、おかしくないのではないか。
 
それとも、アレか?これが泉の広場にてあらわれると大阪っ子の間でまことしやかに囁かれる、幽霊ってやつの正体なのか??
 
どちらにせよ、さぁ、これは大変なことになってきた。楽しかるべき飲み会が、一転、ホラームービーの世界に早変わりだ。この事態、おばあちゃんに貰ったお守りじゃちょっと対処できなさそう。
 
 
 

▪️敢然と立ち向かう

 
 
だが、今更逃げ出すわけにはいかない。…ってゆーか、本当は逃げ出したかったけど、なんかTくんの方で俺のことを見つけちゃったみたいだ。
 

Tくん「久しぶりー!」
 

高らかに声をあげながら、手をあげて俺に挨拶をするTくん。こうなったら、俺も陰キャラとは言え一人の大和男子だ。もはや、腹をくくるしかない。
 

俺「ひ、久しぶり……」
 

Tくんに向かって、挨拶をする。すると、Tくんの傍に立つ背後霊も、俺の方を見てにこやかに笑う。
 
…くそぅ。背後霊め。この世のものならぬ忌まわしき霊の分際で、俺とTくんの楽しい再会を邪魔する気だな。俺は奴に対抗するため、心の中で般若心経を唱え始めた。
 
だが、致死説が間違っていたのか、はたまた俺が冒頭の「まーかーはんにゃーはーらーみーたー」のあたりと、最後の「ぎゃーてーぎゃーてーはらぎゃーてー」のあたりしか覚えてなかったからなのか、いずれかは定かでないが、奴は消えない。
 
ならばとばかり、「エロヒムエッサイム」とか「エコエコアザラクエコエコザメラク」とか「くとぅるふふたぐんにゃるらとてっぷ」とか、知ってる限り呪文っぽいものを唱えてみるのだが、奴は一向、消える気配がない。どうやら、相当強力な霊のようだ。
 
「…かくなる上は、このおばあちゃんに貰った御守りを媒介におばあちゃんの霊を口寄せし、シャーマンファイトを…(おばあちゃんは存命)」とか考えていた俺を前にTくんは、その不穏な様子を察知したのか、おもむろに口を開いた。

 
Tくん「あ、今日な、お前と二人で飲むってことやってんけど……」
 

と言い、霊の方をちらりと見る。
 

…やめろ。それ以上は言うな。
 
それは霊なんだ。俺のような、ヴァンパイアハンターを祖先に持つ生粋のエクソシスト(という設定を中学の時考えて悦に浸っていた)ならばいざ知らず、なんら特殊な能力を持たない、Tくんのような人間には見えるはずのないものなんだ。ゆえに、深入りしては、ならない。

 
Tくん「なんか、たまには他のやつおってもいいかなー、と思って…」

 
霊はその存在を指摘された時にはじめて周囲の人間に害を及ぼすんだ。なんか、こないだの『ハンターハンター』にもそんな感じの話あったじゃない?ツチボッコ…クロボッコ…だっけ?まぁTくんは高校生の時からマガジン派だったが…とりあえず、彼の存在を認識するのはやめておけ。マジで。

 
Tくん「今度、俺の友達が大阪に転勤になったって聞いたからさ……」
 

やめろやめろ。その存在を指摘すると、君も霊の世界に引き込まれるぞ。それは霊なんだ。だから俺に紹介とかするな。これは霊だ。霊だ。霊なんだ。
 
っていうかもうむしろ、霊であってください。お願いします。
 
 
 

 
Tくん「おもろいんちゃうかなって思って連れてきた♩俺の大学の時の友達、Wくんです」
 
 
Wくん「初めまして!Tの大学の同期のWです!(爽やかな笑顔)」
 

 
 
 
 
 
 
………こいつ……
 
 
……マジでやりやがった。
 
 
陰キャラ界最大のギルティ、「友人との会合にそいつと面識のない自分の友達を連れてくる」を、マジでやりやがった。
 
 
 
 

 

▪️陽キャラどもよ。貴様らの血は何色だ

 
 
これは、もうあれや。陰キャラ的には、ほんまにもう、心の底からあかんやつや。こういうことを平気でやってくるから、ワイは陽キャラっちゅう奴らがほんまに苦手なんや。
 
…ことわっておくが、Tくんはかなりの陽キャラである。高校時代はクラスの人気者で、親分肌で、困っている人を見過ごせないような懐の深さも併せ持っていた。
 
ゆえにTくんは、クラスに友達がほとんどおらず、孤立しがちであった俺によく声をかけ、一緒にお弁当を食べたり、遊んでくれたりしていたのだ。感謝。
 
しかし、俺は何しろ陰キャラなので、Tくんとは仲良くできても、Tくんの友人とはウマが合わないということがしばしば、というか、めちゃめちゃあった。初めの頃はTくんも、そんな俺に社会適応能力をつけさせるためか、他の友達を何人か呼んで俺を馴染ませようとしてくれたのだが、あまりにも俺が適応できないので、途中からは気を遣ってくれて、二人きりで会うことの方が多くなった。Tくん…どんだけいいやつやねん(涙)
 
だから俺は、だんだんとTくんが陽キャラであるという事実を忘れて、Tくんと交流するようになっていったのだが…俺の神経が完全に油断しきったここに来て、まさかの事態である。事前の連絡一切なしで、飲みの席に知らない奴を投入するという、悪行超人も真っ青のルール無用の残虐ファイトが陰キャラ・俺に炸裂だ。これはリカバリーが難しい。今日の飲み会、楽しめる気がまるでしない。
 
そして、Tくんに連れられてやってきたWくん。彼も彼である。
 
「今度友達と飲みに行くんだけど、君も来ない?」とか言われた場合、その友達が面識のない人だったら、普通は断る。陰キャラ的に、100%断る。
 
初対面の人との重苦しい空気、エピソードトークをいちいち説明してもらいながら聞くきまずさ、そして、乾杯の時にどっちがグラスを下から出すか合戦。全てが、苦痛だ。陰キャラ的に、それはもう楽しい飲みなんかじゃなく、修行の場といっても過言ではない。そんな場所に好んで列席するなんて…Wくん、君はバトル漫画の主人公か。
 
本当に、こういうことは今後一切、やめて欲しいものである。
 
人によっては「出会いが増えていいじゃん♩」とか思うかもしれないが、俺的に20代半ばを過ぎてやたら「出会い」を大切にしたがる人間にはどこか胡散くさいイメージがつきまとう。具体的に言うと、ネットワークビジネスの香りがする。すげぇする。(あくまでも個人の感想です)
 
世界は、陽キャラだけでできてはいない。陰キャラだって、人間だ。人嫌いの陰キャラに、スプーン一杯の思いやりの心を持てるようになることが、真にイケてる陽キャラへの第一歩になるのではないだろうか。
 
陽キャラのみんな、陰キャラのこともちゃんと気にしてあげて(涙目)
 
 
 

▪️ちなみに飲みはどうだったのか

 
Wくんは、かなり爽やかな印象の好青年だった。こういうタイプを俺は一方的にひっそりと敵対視しているので、なかなか会話に入っていくのが難しかった。店に着くまでは人見知り全開モードでほとんど何も話さなかったが、席に着いてからはもう、やるしかねぇとばかり飲んだ。飲みまくった。酒の力を頼りに、この気まずい場所をやり過ごすのだ。
 
そして気がつくと、俺は公園のベンチで、ZIMAの空き瓶を抱えて一人で寝ていた。…どうやら、危機は去ったらしい。終電はとっくになくなっていたので、俺は家まで一時間くらいかけて、ぽくぽく歩いて帰った。
 
会話の内容はほとんど覚えていないが、非・大阪民であるWくんに対して、Tくんと二人で大阪流のツッコミのタイミングや、初心者が対応し辛いぼそぼそ喋るタイプのボケへの対策などをレクチャーして笑いをとっていた記憶がある。
 
なんか粗相しなかったかな?と不安だったので、後にTくん自身にLINEで聞いたところによると、「飯屋に着くまではほとんど喋らんかったから大丈夫かな、って思ったけど、酒入ってからはめっちゃ楽しそうに喋ってたでー笑」…ということらしい。本当か嘘かはわからないが、Wくんも非常に楽しんで帰ってくれたようだ。
 
 
はぁ……よかった。楽しんでくれて……
 
 
ってこれじゃあ、接待のノリじゃないか(泣)
 
 
というわけで、飲みの席に知らない人を連れてくることだけは、本当に本当にやめましょう。
 
 
 
 
陰キャラ的・本記事への自己評価
★★★☆☆( 3 / 5 )「なかなか怨みがこもっていてよろしい。」
 
陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。
 
 
実話をもとにしたメッセージ性の強い記事だ。結構、楽しく書けた。飲み会の内容をもっと掘り下げることができれば良かったのだが、何しろ喋るためにマジでべろんべろんに酔っ払ったので、あまり覚えておらず、書くことがない…
 
ちなみに、その後「発言小町」とかで調べたところ、9割くらいの人がこのような案件に対して不快感を抱いていた。本記事はブログの趣旨的に、「陰キャラvs陽キャラ」という対立構造をとってはいるものの、考えてみれば、友人と会う際に知らない人がいたら気を遣うし気まずいのは誰にとっても当たり前のこと。この感覚は、陰キャラ陽キャラ問わず普遍的なものなのだろう。