面白い陰キャラを目指すブログ

面白い陰キャラを目指すという趣旨のブログです。

百億の男

はいどうも。陰キャラです。突然だけど、前回に引き続きなんかまた、日本沸いてるらしいね。セネガルとかなりいい試合して引き分けたってことで、全世界のサッカー好きからすげぇ高い評価受けてるらしいね。
 
 
そんな中、俺は俺で知り合いがオフサイドトラップがどうのこうの言ってるから「何?遊戯王の話?」っていって混ざろうとしたら便所に群がったカメムシを見るみたいな軽蔑しきった目で見られましたよ。「トラップ」とか言う言葉の響きで直ぐ様遊戯王思い出す。それが俺、陰キャラ(アラサー)だ。こちとら、お前らが捨てちまったあの頃の夏を未だ全力で生きてんだよ。
 
 
まぁ、そんなこんなでスポーツには疎い俺だが、ほかにも色々と疎い。政治にも疎けりゃ、経済にも疎く、時事問題全般に関心が薄い。なんせこないだ「森友問題」を「もりゆうもんだい」と読んで笑われたばかりだ。「こんなん小学生でも読めるやろwwww」って、うっせーな。湯桶読み勢ディスってんじゃねーぞ。
 
 
こんな感じで、俺みたいな陰キャラがスポーツだの政治だのに疎くとも、世間的には「あ、やっぱりね」とか思われてしまうんだろうが、どっこい、俺はアイドルとかアニメとか、その辺にも疎いぞ。陰キャラが皆アニメ好き、アイドル好きだと思ったら大間違いで、俺みたいなもんから見たらアイドルだの声優だののライブに行ける奴らとか、もうその時点で陽キャだし。しかも、なんか最近のオタは、インスタ栄えとか考慮した上で推しとセルフィーしちゃったりするんでしょ?そんなの、俺の知ってるオタクじゃないんだけど。この国はいったい、どうなってしまったんだ。
 
 
ところが、そんなオタ趣味に疎い俺の耳にまで入ってくるくらい、今の日本は沸いている。何に沸いてるのかって、はい、この方。ドン。

 

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百億の男、安室透さんです。
 
 

いやー、すごいね。安室さん。(ちなみに、上の画像の右上部でドヤ顏してる金髪褐色の人が安室さんね。)なんせ今ジャパンにはこの方が出ている『ゼロの執行人』を見て、安室さんの女にされちゃった方がうじゃうじゃしているそうですよ。
 
 
そんで、そんな方々がなんとか安室透の経済効果を百億くらいに高めようと色々頑張って、映画何回も見たりとか、安室ブランドの時計買ったりとか、突き抜けたのになると劇中で安室が乗ってた車とか購入したりしてるらしい。
 
 
オタクたちがこういうことしてるの見ると、俺くらいの世代だったら例の「ハピマテ事件」とか思い出すわけなんだけれども、その頃に比べるとオタ趣味も大分世間に受け入れられるようになってきて、母数がめちゃめちゃ増えた分、目標達成額もものすごいことになっている。やっぱり、戦いは数ってことなんですかね。
 
 
 
■妹が安室の女に
 
 
ここまで規模が大きいと、自然、俺みたいなオタ趣味に疎い陰キャラの足元にも安室はやってくる。
 
 
なんとなんと、非常に厄介なことに、うちの下の妹が「安室の女」にされてしまったのだ。毎日毎日、映画のパンフレットを見たり、安室関連の二次創作小説を読んだりしては「うっぎゃぁーーー!!」とか「やばいやばいやばいやばああぁぁぁぁんん!!」とか、「好き好き好き好き好き好きいぃぃぃぃんほぉぉぉぉぉぉ!!!」とか、とても正気の人間のそれとは思えない奇声がレ◯パレスばりに壁の薄い隣室から常時聞こえてきて、本当にもう、気が狂いそう。興奮して「んほぉぉぉ」とか、こいつ、みさくらなんこつ作品の登場人物かよ。
 
 
そんな妹だが、今年で19になるわけで、毎日毎日信じて大学やらバイト先やらに送り出されてるんだけれども、かたや俺、毎日毎日、家から電車で10分くらいの会社に送り出されてる。こないだまでニートだった俺なんだが、家にずっといても暇だし、ついつい酒飲んじゃうし、エアコンないから冬は寒いし夏は暑いだろうし…ってことで、働くことにしたのだ。
 
 
といっても、俺は免許もってないし、人と喋るの嫌いだし、営業系の仕事はすることができない。前やってたのは事務系の仕事なので、その流れで今回の仕事も事務系にした。家から出ないか、会社から出ないか。俺にとって、ニートと社会人の違いなど、それくらいだ。
 
 
まぁ、文頭ではこんなこと言ってるが、実際の俺はいたって真面目である。陰キャラが不真面目で無能だと社会から虐められるので、一日でも早く仕事に慣れるよう、誠心誠意頑張っている。その様はまるでヤング・島耕作だ。
 
 
なんせ、新しい職場のこと故、今まで培ってきたスキルが全部通用するわけではない。仮に俺のスキルが野獣先輩の名言並みに余すところなく使用できるものなら、どんな環境でも問題なく適応できるのだろうが、俺のスキルは結構、捨てるところがあるので、そういうわけにもいかない。
 
 
日々、仕事に打ち込む中で、これまで培ってきた自分のスキルを「これはここでも使えるな」「これはこの職場では使えないぞ」みたいな感じで選り分けつつ、己を練磨し研鑽していくのだ。その様はまるで、包丁片手に鮮魚に向かう築地魚河岸三代目だ。そして俺のスキルはマグロのようだ。…え…?じゃあ俺って…一体、何?島耕作…?野獣先輩…?魚河岸三代目……?それとも……マグロ………?
 
 
…みたいな感じで、自我が分裂しまくってるところで俺の脳内に巣食うバナージ・リンクスが「こんなことを繰り返していたら、心が壊れて人間でなくなってしまう!」っつって修正パンチ食らわしたあたりで、ようやく正気に戻って仕事が手につきだす。ここに行き着くまでにだいたい平均して半日くらいかかってるわけで、え、ダメじゃん。俺。新入社員としてどうこう以前に、もはや人間としてダメな領域に差し掛かってんじゃん。
 
 
そんなこんなで、毎日悲喜こもごもな社畜ライフを満喫しているわけなんだけれども、先日、仕事を終えて帰宅して家の扉を開けた瞬間、すんごい女の悲鳴が俺の両耳をつんざいた。
 
 
「ぎゃあぉぉあああああああああああ!!!」
 
 
 
 
 
悲鳴の感じからして、今家の中で叫んでいるのは上の妹らしい。
 
 
ここでちょっと触れておくが、うちには妹が二人いる。先に登場した安室の女にされた方が下の妹で、今、ホラー映画の女主人公ばりに叫びまくってるのが上の妹ね。俺の妹のくせに、なぜか両方陽キャラ寄りなので、いい年こいて友達も彼女もいない陰キャラの兄のことをゴミムシみたいに扱ってくるが、なぜか呼び方だけは「お兄ちゃん」で統一されている。妙にアンバランスな妹力を持つ二人だ。
 
 
そんで、下の妹の歳は19なんだが、かたや上の妹は24とか5とかその辺である。軽く結婚しててもおかしくないし、人によっちゃ子供とかいてもおかしくない。物事の分別もしっかりついているであろう20半ばの人間が、今、俺の家のリビングで喉が張り裂けんばかりの大声で叫びまくっている。これは大変ヤバいことが起こっているに違いない。俺の脳裏を「強盗」という言葉と「強姦」という言葉が同時にかすめる。
 
 
どうしよう。逃げてやろうかしら。脳内に響く悪魔の声。否、否。かわいい妹がどこぞの変態に犯されかけているのだ。ここで逃げて何が男ぞ。脳内に響き渡る天使の声。そうだ。今、妹を救えるのは俺しかいない。陰キャラとはいえ、俺も一人の大和男子。ここは根性、見せたらんかいぃぃ!!とばかり、玄関に立てかけてあった高枝鋏を装備すると、蹴破らんばかりの勢いでリビングルームへ突入した。
 
 
俺「どないしたあ!!!」
 
 
上妹「うわ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ああ!!!お゛に゛いぢゃああああん!!!!」
 
 
…え?なにこれ。
 
 
俺はリビングルームで行われている惨劇を前に、完全に言葉を失う。
 
 
そこにいたのは、絶叫する妹。妹が、右腕にまとわりついている人物の頭をべちべち叩きながら、悲痛な叫び声をあげている。だが、べちべちやられている側もただ、黙って叩かれているばかりではない。っていうか、どう考えてもそいつの方がヤバい。そいつは、まるでジャック・ハンマーがごとく、妹の右腕にかぶりついているのだ。人間が、人間に噛みつく。東京ドームの地下にある闘技場でしか見られないようなマジモンのヴァーリ・トゥードが、今、俺の目の前で行われている。
 
 
一度かぶりついたら離さない。凶悪な顎を持つ、気合の入った我が家のジャック。それはもちろん、例の「安室の女」こと、下の妹だ。
 
 
下妹「ぐぅーーーー!!!ぐるふぅぅーーーーぅ!!!!!」
 
 
 
■安室の女vs赤井の女
 
 
まぁ、そこはなんだかんだ言っても俺は長兄なわけで。「ちょ、ちょ、おま。」みたいな感じで仲介していったら、何とかジャックを妹の腕から離すことができた。そこからはもう、上の妹も下の妹も泣く泣く。20を幾分か越した分別盛りと、花も恥じらう20手前の娘が、喉も裂けよとばかりに泣きまくる。
 
 
それで、大体10分くらい経ったころだったかしら。無限と思えるスタミナを見せていた妹たちも、ようやく疲れが見え始めたのか、次第に泣きやむようになってきた。そんな妹たちに対して、俺はことの経緯を聞こうと質問を投げかける。
 
 
俺「なに、このザマ。」
 
 
上妹「あんな、あんな、下妹ちゃんが、私が赤井のこと、めっちゃ好きって知ってんのに、赤井の悪口ばっかりいうねん!」
 
 
俺「…!?」
 
 
下妹「だって、だって!旦那(!?)が、赤井のこと大っ嫌いやから私も大嫌いやねん!なのにお姉ちゃんが、pixivで変な絵ばっかり見せてくるねん!」
 
 
俺「……!!??」
 
 
え……なに、こいつら。気持ち悪い。ニュータイプなの?宇宙(そら)が光っちゃってんの?時が見えちゃってんの?オールドタイプの俺には、言ってることが全然理解できないんだけど。
 
 
それでも、例のロリコン仮面みたく戯言言い合うニュータイプを完全に蚊帳の外から眺めてるだけってのも癪なので、なんとか歩みよりつつ、ここで何が行われていたのかを出来るだけ詳細に聞いてみた。
 
 
その結果、得られたのは次のような情報だった。
 
 
どうやら、上の妹は『名探偵コナン』に登場する「赤井秀一」という人物のことが大好きらしい。赤井秀一は、例の「黒の組織」の一員でありながら、FBIとかにも所属しており、主人公であるコナン達にも時折手を貸してくれる二枚目キャラなんだとか。
 

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↑コナン君とじゃれ合う赤井秀一さんの図

 
上妹は、結構前からこの赤井秀一のことが大好きで、pixivで絵を漁ったり、グッズを買ったりして赤井愛を高めていたのだという。そんな中、今回の『ゼロの執行人』騒動で下の妹が『名探偵コナン』に興味を持った。これはもう、上妹からすればかなりウキウキな出来事だったそうだ。仲良しかよ。
 
 
ところが、ここで問題が生ずる。上の妹は、いわゆる腐女子というやつだ。しかも「コードギアスで目覚めた」とか言ってるから、軽く10年程のキャリアを持つ腐女子戦士ということになる。彼女は20代半ばにして、既に人生の半分近くを腐女子として生きているのだ。
 
 
そんな上妹のことだから、赤井に求めるのは当然同性愛である。そして、聞くところによると、赤井でBL妄想を行う場合、大正義となるのが赤井×安室のカップリングらしいのだ。上妹は「この機会に」とばかり、嬉々として下の妹に赤井×安室のカップリングをレコメンドしに向かった。
 
 
が、下の妹は、上の妹とは種類の違う女オタクだった。下妹は、彼女らの業界でいうところの「夢女子」というやつだったらしい。
 
 
夢女子とは、好きなキャラクターがいる世界の中に自分を当てはめて、妄想の中でそのキャラクターと友達になったり、恋人になったりする奴らのことを言う。夢女子であった下の妹にとって、推しである安室は「BL妄想の対象」ではなく「結婚したい男性」であった。だからあいつは、安室のことを平気で「旦那」とか呼んじゃうのだ。
 
 
そんな下妹であるから、安室の人格や趣味嗜好を非常に尊重する。そして、聞くところによると劇中の安室は、赤井のことが大っ嫌いらしい。っていうか、嫌いとかじゃなくてもう普通にぶっ殺したいと思ってるらしい。初期のサスケがイタチに対して抱いていたレベルの殺意を、安室は赤井に対して抱いているらしい。
 
 
そんな中、上妹は下妹に対して、安室と赤井がくんずほぐれつなBL絵を複数レコメンドしてしまった。安室の女、下妹は、旦那が大嫌いと言っている赤井が安室を性的に責めている画像に対して、本当に我慢ができず、強い拒絶をしめす。ところが、上妹は懲りずに勧める。下妹、拒絶する。
 
 
そんなことを繰り返しているうちに、ついには口論に発展する。上妹は下妹を「現実が見れないキモくて痛い夢女子」「にわかの癖に安室を旦那とかキモすぎる」などと罵り、下妹は上妹を「男同士の裸で欲情する倒錯者」「20未満の妹にBLを勧めるモラルの欠片もない女オタク」と罵る。
 
 
その末、取っ組み合いの喧嘩に発展し、ついには上妹の右腕に、下妹がかぶりつくという惨劇が起こってしまった、というわけだ。
 
 
 
 
 
 
……………
 
 
 
 
 
 
俺「え、お前らアホなん?」
 
 
 
 
ことの経緯を聞いた俺、そう言うしかなかった。だってそうじゃん。19の女と24の女が、架空の人物に対する愛情感のすれ違いから叩いたり噛みついたり…挙句、家の外にいる人にも聞こえそうなレベルの大声でわんわん泣き散らすとか、こんなもん、アホと言うよりほかはない。
 
 
だが、妹ズは俺のアホ発言に対して牙を剥く。
 
 
上妹「アホってなんなん!!なんも知らん癖に、そんな言い方せんとってや!!」
 
 
下妹「ほんまや!大体、お兄ちゃんの方が変なエッチな漫画雑誌部屋に隠してる癖に!お兄ちゃんの方がよっぽどアホやしキモいわ!!」
 
 
上妹「はぁ!!?お兄ちゃん部屋にそんなん隠してんの!?しかもそれを下妹ちゃんの目につくようなとこに置いてんの!!?信じられへん!!!」
 
 
下妹「信じられへんわ!!お兄ちゃんが一番キモいわ!!アホ!!アホ!!!」
 
 
…先ほどの醜態は全力で棚の上へ叩き込み、今度は俺に対してdisの嵐を浴びせまくる妹ふたり。オイオイ、俺の部屋から出てきたエッチな雑誌って、まさか『LO』のことじゃねぇだろうな?『快楽天』なら仕方ない。男は皆オナニーするのと同じように、男は皆『快楽天』くらいだったらベッドの下に忍ばせているのが当たり前だ。
 
 
そんな当たり前な男の生理現象につけこんで、ここぞとばかりに俺をdisりまくる妹ふたり。ナマの感情丸出しで戦うなど、これでは人に品性を求めるなど絶望的だ。俺は品性のある大人の男なので、ちょっとやそっとのdisには動じず、ただ言わせたいままにやらせておく。
 
 
だが、何しろ俺は根暗の陰キャラでついこないだまでニートだった身だ。罵るところとか、いくらでも出てくるぞ。すねかじり、ごくつぶし、女にもてないぼっちの陰キャラ、ブサイクな二次エロオタク、変態…うう…書いてて辛くなってきた。
 
 
上記の悪口に加え、とてもここには書けないようなマインドクラッシュな罵詈雑言を浴びせまくった後、言いたいだけのことを全部言ってしったのか、それとも単に疲れただけなのか、妹らは各々、自分の部屋へと帰っていった。そして、妹たちによる30分罵倒責めコースを堪能した俺は、ちょっと泣きそうになりながらその場にへたり込むのであった。
 
 
アニメは人を、ここまで変えるのか。安室さん、あんたスゲェよ…
 
 
100億の男が残した執行の爪痕は、まだまだ我が家の情勢をかき乱しそうである。
 
 
 
 
陰キャラ的・本記事への自己評価
 
★★★★☆(4/5)「割と好き。」
 
 
陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。
 
「時事ネタ」というにはちょっぴり古くなってしまったかもしれないが、100億の男・安室さんのネタである。世間が安室透で湧きまくってたのはもう1カ月以上前の話かもしれないが、これはつい先週、うちの家で起こった本当の話。
 
妹らの喧嘩を割とノンフィクションでそのまま書いてるので、なんか謎のスピード感があって個人的には割と好き。読む人の目線まで気にして★4をつけれたのなら大したものだが、そこまではまだ、力が及ばない。
 
自分を客観視して見ることは、自意識過剰気味な陰キャラには難しいのだ。