面白い陰キャラを目指すブログ

面白い陰キャラを目指すという趣旨のブログです。

陰キャラvs結婚を強要してくる人

陰キャラは友達が少ない。
 
 
当然、俺も陰キャラゆえ、友達が少ない。
 
 
だが、友達が少ないからと言って、悪いことばかりではない。友達が少ないゆえに、回避できるような厄介なイベントもまた、この世にはたくさんあるのである。
 
 
その一つが、結婚式だ。
 
 
 
 

■陰はまた、陰を引き付けるのか

 
 
 
俺は今、20代半ばである。
 
 
俺はなにしろ友達が少ないのでよく分からないのだが、世間的に見れば、この年齢になると人間は「結婚」ということをするらしい。今の俺の年齢あたりが「第一次結婚適齢期」というやつらしくて、そこを逃すと大体の人間は30過ぎとか、40過ぎとか、その辺にならないと結婚しないんだとか。
 
 
…まあ、俺的にそこは別にどうでも構わない。そもそも俺は、自分の部屋に肉親が入ってきただけでパニックに陥ってしまうようなタイプの人間だ。「結婚適齢期」だかなんだか知らないが、そんな俺みたいな人間が赤の他人と結婚して、一つ屋根の下で一緒に暮らすとか、どう考えても荷が重い。
 
 
ガラスの仮面』でいえば、冒頭の「出前120軒組手」をこなしつつある北島マヤの前にいきなり月影先生が出てきて「お前、明日の舞台で『紅天女』主役やれよ」と言うようなもんで、その頃のマヤLIKEな俺にとってはもう、「紅天女」とかいきなり言われても、「なにそれ、紅生姜の親戚かな?」くらいの感じで、ちょっと良さような種類の牛丼のつけあわせくらいにしか、結婚というやつを認識していない。それくらいの段階だ。
 
 
そんな俺はおそらく、陽キャラたちの作り上げた社会の中では負け組に位置づけられるのだろう。
 
 
だが、類は友を呼ぶというか、陰キャラは陰キャラを惹き付けるというか、俺のまわりでは不思議と未だに「結婚」に関する浮いた話を一切、聞かない。たいていの奴が、未だに冒頭の北島マヤで、延々と年越しそばを出前し続けては、杉子ちゃんにネチネチと陰湿な嫌がらせを受けているのである。
 
 
だから、俺は今まで、友人の結婚式というやつに呼ばれたことが一度もない。
 
 
こんなことを言うと陽キャラには引かれるかもしれないが、俺はこの状況を非常に良いものだと思っている。一体全体、何が悲しゅうて3万払って一日潰して、他人の人生の「幸せの一ページ」の背景画像なんぞになりに行かにゃあならんのか。
 
 
…そんなことを思ってしまうのは、俺が根暗な陰キャラだから…というのも勿論そうなのだろうが、どうやらそれだけではなさそうである。「発言小町」とかで個人的にリサーチしたところ、他人の結婚式に対してこのようなネガティブな印象を持っている人間は、決して少なくないようなのだ。じゃあ、もうやめちゃえばいいじゃん。結婚式。
 
 
 
 

■「結婚」を強要する人たち

 
 
そんなこんなで、俺と結婚というやつとの距離は非常に遠い。
 
 
俺が結婚式という文化を平然とdisっているのも、それが俺にとって絶対に手に届かないと思われるようなところにあるからであって、もしも間近にそれがあるならば、自分勝手な俺はこんなことは絶対に言わないはずだ。例え『LO』が世間の人間からどのように思われていようと、俺は安易に『LO』の悪口を言ったりは絶対にしない。今、机の抽斗を開ければ、『LO』はそこに何冊も入っているからだ。それと同じだ。
 
 
 
俺は、今みたいに便利で、人間が一人で生きていくのにそれほど不自由がない世の中において、他人と一緒に生きるのにどう考えても向いていないような若者が焦って結婚などしなくても良いと思うのだが、世間にはそれを許さないような存在もいる。
 
 
俺にとって、それは祖父と祖母だ。
 
 
 
 
 
こないだ、祖父が85歳の誕生日を迎えた。それで、お祝いのために祖父宅に赴いた俺であった。正月はなんのかんのあって顔を出せなかったので、じいちゃんの顔を見るのは結構、久々である。
 
 
本来ならば孫として、喜ぶべきシチュエーションなのだろうが、俺の気持ちは重い。
 
 
じいちゃんとばあちゃんは、俺と顔を合わせると「結婚はまだか。」とか「いい人はおらんのか。」だとか、「彼女はできんのか。」だとか、色々聞いてくるからである。今なら、そこに「仕事はどうするんだ。」という必殺パンチラインが追加されてしかるべきなのだろうが、仕事を辞めたことは二人には明かしていないので、とりあえずそこは安心だが。
 
 
 
 

■ツープラトンの攻撃

 
 
じいちゃんの家に到着してから二時間ほど経った頃だろうか。酒もある程度進んで(俺は断酒中なので飲めなかったが)気持ちよくなったじいちゃんが、ついに俺に結婚の話を切り出してきた。
 
 
「なあ。じいちゃんが死ぬまでに、曽孫の顔を見せてくれや…」
 
 
…じいちゃん。言葉重い。いきなり言葉重いよ。まさか己の命を盾にして、俺に結婚を迫ろうとは。開幕当初で、いきなりメガンテを放ってくるじいちゃんに対して、俺としてはもう、苦笑いである。「こんな孫でごめん」って、心の中で土下座するしかない。心土下座。するとそこにばあちゃんも参戦してくる。
 
 
「ほんまになあ。だいたいあんた、世間体ってもんがあるやろ。あんたがはよ結婚してくれんと、ばあちゃんは他の人にそれ聞かれた時、なんて言うたらいいんや。」
 
 
ここでばあちゃんは「世間」という概念を持ち出してきた。じいちゃんがメガンテなら、ばあちゃんはミナデインだ。ばあちゃんが週二で通う「カーブス健康体操」のみんなの絆の力が、今ここで奇跡を生むんだ。
 
 
…それにしても、なんで顔も見たことがないようなばあちゃんのカーブス友達からのばあちゃんに対する評価を向上させるために俺が結婚しなければならないのか、全くもって意味が分からないが、とりあえず俺は小さくなる。
 
 
「あんたは長男の長男やのに…はよ結婚してくれな、安心できひんやないか。」
 
 
さらに追い討ちをかけるばあちゃん。…そうだった。あんまり親戚との付き合いがないから忘れていたが、そういえば俺の父は長男で、かくいう俺も長男であった。ついでに言うなら、じいちゃんも長男だ。(ひいじいちゃんについては知らない)
 
 
つまり、俺が結婚せねば俺家の少なくとも三代に渡る長男リレーが、ここで途絶えてしまうわけであって、これはいきなり、荷が重くなってきたぞ。俺、さらに小さくなる。
 
 
「だいたいな、お前はなんや、顔も男前やし、ちゃんと働いてお金もあるのに、なんで女の子と付き合おうとせえへんのや。ちょっとおかしいんと違うか。」
 
 
じいちゃん、カットイン。御年80を超える老人二人のそれとはとても思えない抜群のチームワーク。褒めの要素からの突き放し攻撃だ。
 
 
身内の口からでる「男前」ほど信用できないものはないことは周知だが、うちのじいちゃんに至っては、過去にフットボールアワーの岩尾を「男前」扱いしたことがある御仁だ。そんなじいちゃんに男前扱いされても全然嬉しくないし、なんなら脳裏にチラつく岩尾の顔と自分の顔がオーバーラップして、ちょっと嫌な気持ちにさえなる。
 
 
っていうかじいちゃん、実は俺もう、ちゃんと働いてないんだよ…じいちゃんによってさらなる罪悪を植え付けられた俺はミジンコのごとく小さくなり、心の中では大和田常務ばりの渾身の土下座を決めまくる。「変だ」とか「おかしい」とか言われると、未だ厨二病を引きずる普段の俺ならば喜んでしまうところなのだが、さすがにこのシチュエーションでは喜べない。
 
 
もはや一切の弁明を諦め、寂海王のごとくタートルポジションを決め込み、ただ一刻も早く、この時が過ぎ去ってくれるのを待つ俺であった。
 
 
 

■戦いを終えて

 

 
そんなわけで、「結婚」をネタに完膚なきまでボコボコにされてしまった俺であるが、その後もじいちゃん&ばあちゃんコンビによる死体蹴りは一向止む気配がなかった。
 
 
やれ姿勢が悪いだの、やれ声が小さいだの、酒に酔った老人特有の妙な元気さと勢いでもって繰り出されるdisの嵐が、陰キャラ・俺に牙を剥く。俺はひたすらに耐え続け、帰る時にはなぜか図書券とチャンジャをもらって、祖父宅を後にしたのであった。このプレゼントは、じいちゃん&ばあちゃんなりの、俺への気遣いだったのだろうか。
 
 
それにしても、なんで結婚しないということで、これほどまでにけちょんけちょんに貶されねばならないのだろうか。
 
 
じいちゃんもばあちゃんも、昔の人だ。18とかの時に親同士が縁談を決めて、出会って即日、有無を言わさずに結婚させられたらしい。
 
 
そういう人たちにとって、「結婚」ということはしてて当然、ごくごく当たり前のものとして映るというのは何となく理解できるのだが…今はもう、そんな時代でもないのだから、結婚しない姿勢を見せているからといって「おかしい」まで言わなくったっていいじゃん…というのが、今回の戦に対する陰キャラ・俺の素直な感想だ。
 
 
加えていうならば、俺は今まで俺のことを基本的に嫌な気持ちにしかしてこなかった「世間」とかいう奴らからの体裁を守るために、軽はずみな結婚をする気持ちなどさらさらないのである。
 
 
いつか、「世間」も「世間体」も全て度外視で、「この人と一緒にいたい」と思えるような人と出会えるまで、結婚の話は保留にしておきたい…というのは、この年の男子にしては、あまりにも子供っぽすぎる欲求だろうか。
 
 
だが、陰キャラな俺にとって、結婚というのはそういうものである。
 
 
それはまだまだ、手の届かないところにあるのだ。
 
 
 
 


 
陰キャラ的・本記事への自己評価
 
★★☆☆☆(2/5)「書いてて心がつらかった。」
 
 
 
陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。
 
 
 
実話をもとにした記事。結婚式に対するルサンチマンのくだりは個人的にうまく書けたのではと思う。だが、じいちゃんとばあちゃんにいじめられるくだりはほぼほぼ実話そのまんまなので、書いていて非常につらかった。陰キャラな俺は基本的にはこの世界でロクな目にあわないので、実話系記事は書くのがつらい。
 
 
 
本当は、最後の結婚に関して個人的な意見を述べるところでもっと言いたいことがあったのだが、書いてる途中に「無職が何語っちゃってんのー(☝︎՞ ՞)☝︎」とばかり、脳内世間に煽られてしまったため、だいぶ主張を弱めて記事にした。
 
 
自分に負けてしまった感が否めないので、★2で。