面白い陰キャラを目指すブログ

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陰キャラと観る『アウトレイジ』 〜陰キャラにこそ観て欲しい!!マジもんの仁義なきヤクザ映画〜

※本記事は『アウトレイジ』『アウトレイジ ビヨンド』のネタバレを含みます。※

 

 

f:id:hara-hiro-da-bu:20171007041457p:plain10月7日はアウトレイジ!!

 

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ついにアウトレイジシリーズの最終章が日本で公開されるということで、俺の胸は一週間ほど前から高鳴りっぱなしだ。そして、劇場での上映をあと数時間に控えた今となっては、もういてもたってもいられない。眠ることもできずに、さっきから檻の中の熊のように、部屋の中をぐるぐる歩き回っている。

 

このまま無為に歩き回っていても仕方がないので、せっかく開設したブログで『アウトレイジ』シリーズの魅力を振り返ってみることにした。

 

なぜ俺のような陰キャラが、対局にいるはずのヤクザの世界にこれほどまでひかれるのか。そんな疑問にアンサーをだしつつ、『アウトレイジ』の面白さを改めてプロモーションしてみたい。

 

▪️そもそも、『アウトレイジ』とは

 

アウトレイジ』シリーズは、北野武監督による、日本のヤクザ映画。2010年公開の『アウトレイジ』と、続編である2012年公開の『アウトレイジ ビヨンド』、そして、もうすぐ公開される『アウトレイジ 最終章』からなる。

 

北野武扮する主人公、大友が「outrage(激怒、暴力、非道な行為の意)」の名に違わぬ怒りと、暴力でもって、ヤクザ社会を強かに生き抜いていく様が描かれたクライムムービーだ。

 

とにかく、登場人物が全員、揃いも揃ってろくでもない奴だというのが印象的な作品で、キャッチフレーズである「全員悪人」は一部でブームを呼び、一時期はこのフレーズに合わせたコラ画像が大量に作られたりもした。

 

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 ↑2014年を彩った悪人たちをアウトレイジ風に並べたコラ画像

 

ヤクザ映画ファンだけでなく、その他大勢の映画好きにも幅広く愛される、北野作品中屈指の名作と言えるだろう。

 

▪️陰キャラは暴力描写がお好き

 

 俺はこの『アウトレイジ』という作品が大好きである。

 

 しかし、人に「俺、アウトレイジ好きなんですよねー」とか言うと、だいたい高確率で「えー、意外―」とか言われる。

 

 なんせ、「暴力」と「怒り」をテーマにした「ヤクザ映画」だ。全てのワードが俺みたいな、学校の休み時間にトイレにいっていた隙に陽キャに椅子をとられ、泣く泣く「大」の方に籠って始業のベルを待っていたような経験のある陰キャにはそぐわない。

 

 だが、陰キャの皆なら分かってくれるだろう。俺たち陰キャラは、暴力描写が大好きだ。

 

 何しろ、この社会から虐げに虐げられ続けた結果、陰キャになってしまった俺たちである。社会に対する…ひいては、陽キャに対する恨み、DQNに対する恨みつらみは、筆舌に尽くしがたいものがある。だが、俺たちはそんな連中に対して何も報復することができなかった。だって陰キャラなんだもん。

 

 その結果、たまってしまったフラストレーションというやつは、恐竜のように大きく、強い。ゆえに、漫画や映画といった架空の世界で執行される暴力に対して、俺たちは思いを馳せ、自分の姿を投影し、さらに暴力を振るわれる側に恨んでいる相手の姿を重ね合わせ、楽しむのである。

 

 え?暗いって?キモイって?

 

 当たり前だろうが。陰キャラなんだから。

 

 ▪️陰キャラ的『アウトレイジ』の良さ

 

 だが、このような陰キャラ的ロジックに基づいてヤクザ映画を楽しもうとした場合、大きな障壁が立ちはだかる。

 

 それが「仁義」というやつだ。

 

 ヤクザ映画と言えば、常に「仁義」の影がつきまとう。しかし、個人的な感想だが、陰キャラは基本的に、この「仁義」というやつにあまりいい印象を持っていないのではないかと思う。

 

 なぜと言って、「仁義」とは、言い換えて見れば一種の人間関係だからである。「受けた恩にはしっかり報いる」とか、「先輩には逆らわない」とか「トモダチ、ダイジ」とか言うような、陽キャラが好きそうな倫理観がこの「仁義」の中にはみっちりと詰まっているような気がする。

 

 そして、俺たち陰キャラはそんな陽キャラ的価値観に共感することができないのは言うまでもない。「絆」って言葉、俺は最高にダサいと思ってますよ。ええ。

 

 しかし、ヤクザ映画ではなにしろこの「仁義」が強い。どれだけ悪いことをやっていようが、人を苦しめようが「仁義」を通せば形がつく。「仁義」の名のもとに善良な人に迷惑をかけたり、弱い人を殺したりするような奴が、ヤクザ映画の世界でなら英雄になれるのだ。

 

 「仁義」を通せるやつは、生き残るか、死ぬにしても華々しい、カッコいい死に様が与えられる。それを見て、陰キャラたちは身悶えする。「こんなクズが…!仁義通したってだけで…!なんで……!」この感情、俺たち陰キャラがコミュニケーション力のある陽キャやDQNに対して抱きがちな感情と非常に似ているのではないだろうか。

 

 しかし!俺たちのアウトレイジ』には「仁義」がない。マジでない。

 

 いや、正確に言えば「仁義」っぽいものはあるのだが、それを通したからと言って、生き残れたり、カッコよく死ねたりということはない。例を挙げるなら……

 

 大友組若頭 Mさんの場合

 

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 ※画像は『アウトレイジ』より

 

 大友組の幹部として、『アウトレイジ』で活躍する。格下のヤクザを怒鳴り散らしたり射殺したり、警察にタバコを投げつけたりしてやりたい放題のヤクザライフを満喫。映画のラストで、大友組が巨大ヤクザ組織、山王会に潰される際も、大友を裏切らず、腹を決めるという仁義っぷりを見せる。しかしその後、彼女とSEXした後にさらわれて港に連れていかれる。そこで、車に括り付けたロープを首に巻かれた後、急発進した車に首を引きちぎられるという西部劇みたいな刑法で惨めに殺される。

 

 元・村瀬組若頭 Kさんの場合

 

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 ※画像は『アウトレイジ ビヨンド』より

 

 『アウトレイジ』と続編の『アウトレイジ ビヨンド』に登場。『アウトレイジ』では、大友に顔を切られる情けない役回りだったが、物語のラストで大友を刺し、復讐を果たす。『アウトレイジ ビヨンド』では、大友と手を組み、山王会との戦争をおっぱじめる。その際、山王会の宿敵である花菱会に助力を頼みに行くが、大友が花菱会幹部の対応にブチぎれたため、交渉は難航。あわや大惨事…と思われた際に、自分で自分の指を噛み切って大友の非礼を詫びるという、作中随一の男気を見せつける。その後、大友と兄弟の盃を交わすことで作中No.1の仁義っぷりを確立した彼だが、物語のラストでは、事務所でくつろいでいるところをぶっ潰した山王会の残党に射殺されるという最期をとげる。果たした役割の割に、その死に様はあまりにあっけなかった。

 

 

 …いかがだろうか。

 

 このように、『アウトレイジ』の世界では、「仁義」がほとんど意味を持たない。「仁義」を通していようがいまいが、死ぬ奴は死ぬ。惨めに、カッコ悪く死ぬ。このドライさが、陰キャラ的には実に心地良いのだ。

 

 「コミュニケーション力」とか、「人間関係」とか、「縁」とか「絆」とか色んな言葉があるけれど、結局そんなもん、最後にゃ役に立たねえ。そのことを再確認させてくれる『アウトレイジ』シリーズは、「仁義」嫌いの陰キャラでも安心して見れる、ジャパニーズ・ヤクザムービーの傑作だ。ハラショー。たけし。

 

 ▪️アウトレイジ 最終章』はどうなる?

 

 そんな大好きな『アウトレイジ』だが、公開を控えた最終章に対して、一抹の不安が残るのも事実である。

 

 なぜと言って、前作にあたる『アウトレイジ ビヨンド』で主要キャラが殆どみんな、死んでしまったからである!

 

 個人的には、中野英雄扮する木村と、小日向文世扮する刑事の片岡くらいには生きていてほしかったのだが、物語の終盤で普通に死んでしまった。さらに、神山繁扮する花菱会組長のように、役者さんがお亡くなりになったために物理的に出演が不可能になってしまったキャラもいる。

 

 残されたキャラが殆どいない中で、『アウトレイジ 最終章』はどうなるのか。新しいキャラ達は、生き残った数少ないキャラにどのようにかかわっていくのか。そして主人公、大友の末路は…?

 

 『アウトレイジ 最終章』への圧倒的な期待と、一抹の不安。俺のドキドキは、もう止まらない。

 

 

 

 陰キャラ的・本記事への自己評価

★★★☆☆( 3 / 5 )「頑張りましょう。」

 

陰キャラはよく自己評価をする。他の人間が一切自分のことを評価してくれないから、自分で自分を評価するしかないのだ。

 

眠れないから書いた記事。ほとんど勢いで書いた割には、割と文章がまとまってるかな、という感想はある。『アウトレイジ』の魅力をプロモートする、とか言いながら、作品の核心をつくようなネタバレを連発でかますのはどうなんだ。『アウトレイジ』未視聴の方、申し訳ない。でも、ネタバレ込みでも楽しめる映画だと思うのでぜひ、見てみてください。本当は2.5にしたかったけど、半分の★をどうやってだすか分からなかったので、『アウトレイジ』への愛も込めて★3。